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PC-9801UV2 X1-G 他パソコン(月刊ASCII 1986年7月号2) ASCII EXPRESS [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からパソコン等の記事をスクラップする。

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PC-9801シリーズはこうしてFDDを変えただけの機器を新製品として発表していた。
PC-9801UV2の定価は318,000円でVM2に16色グラフィックボードとサウンドボードを実装した場合の460,000円より142,000円安くなっている。

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シャープの8bit機もPC-98と同様に、X1GがFDDを内蔵して新製品として発表した。
カセットテープ内蔵のモデル10が63,800円。FDD 2台内蔵のモデル30が118,000円だった。ジョイカードが2個装備しているのはゲーム専用機を目指していると言われてもしょうがない機体だった。カラーディスプレイが49,800円。

ASCII1986(07)b08_シャープツインファミコンW520.jpg
シャープはツインファミコン32,000円とファミコンテレビ59,800円を出した。
シャープはゲーム指向だった。

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三洋電機のMSX2は1Mbyteの3.5インチFDDを内蔵した WAVY25FK定価125,000円で月産3,000台を予定していた。写真のキャプションは「2DDタイプの3.5インチドライブを1基内蔵したWAVY25FK」とあるが2DDでは1Mbyteとはならないだろうに。FDDの容量は何が正解だったのか。スクラップしていくと分かるかもしれない。

ASCII1986(07)b06_日本楽器MSX2_W520.jpg
ヤマハのMSX2も1MbyteのFDDを内蔵した。YIS805/256が198,000円、YIS805/128が148,000円。
こうしてみるとMSX2は結構高かった。MSX規格パソコンの価格優位性が無くなっていた。

ASCII1986(07)b02_MacPlus_W520.jpg
Macintoshは日本語化して登場した。価格は648,000円で簡単には手が出ない高嶺の花だった。

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日立の16bit機B16シリーズはSXが288,000円から528,000円。
沖のif800 RX110 が950,000円から1,422,000円、NTTのBS21が698,000円から1,391,300円。

ASCII1986(07)b09_パナファコムビジネスパソコンW520.jpg
パナファコムの16bit機 C-380 が標準システムで1,610,000円から。

ASCII1986(07)b07_32bitワークステーションW520.jpg
パナファコムの32bit機(CPUは68010)はワークステーションとなってしまう。基本システムで5,780,000円。

ASCII1986(07)b09_三洋IBMコンパチW520.jpg
三洋電機はIBM PC互換機を出した。MBC-995DH20で価格798,000円、月産300台。

ASCII1986(07)b07_IBMPCコンパチW520.jpg
米国のデータ・ゼネラル社がIBM PCコンパチ機を出した。日本国内での販売価格は370,000円から806,000円で販売目標は初年度10万台であった。

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これは電話付きパソコンとは言わないのか?MEDIATEX-1000。CPUがV60(8MHz)でワープロ、表計算、データベースの統合ソフト付き。FDDは720Kbyteの3.5インチが2台内蔵。価格はLCDタイプが598,000円、ELタイプが828,000円。3年間で20万台発売予定。

ASCII1986(07)b10_ポケコンPB-1000_W520.jpg
ポケコンもFDDが使えるようになった。
カシオのPB-1000は3.5インチFDDが使える。ポケコン本体の価格が39,8000円で月産7,000台。

ASCII1986(07)b09_プライムスパコン発売W520.jpg
スパコンでも32bit。プライムコンピュータ・ジャパンのPrime9955-II 価格は1億941万2000円。
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パソコン広告(月刊ASCII 1986年7月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

もう一度読み返し、スクラップする。
ASCII1986(07)表裏_W520.jpg
(表紙表裏)

7月号の広告から、まず表紙見返し。
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PC-9801UV2が新製品として紹介された。確かに新製品ではあるがあまり変わり映えしない。

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PC-8800シリーズ

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スーパーMZ(MZ-2500)は前号の使いまわし。

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シャープのパソコン通信。「各局ともホストシステムはスーパーMZ」だそうだ。

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X1turboIIは前号の使いまわし。

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FM77AV

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FM16β

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ヤマハのMSX2マシン。YIS805/256とYIS805/128。8ビット機だけどRAMが256KBもあった。

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日本IBMは前号までのJXから5550に変わった。上場企業では導入実績No.1だったそうだ。PC-9801ではなくIBMの5550を導入するということは理解できる。35年前はそういうものだった。

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沖電気のif800RX110とRX120

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左頁は沖電気のCM。右頁はオリベッティのS-2250。

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Macintosh Plus 漢字TALKシステムで日本語対応した。

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日本のワープロの雄「新・一太郎」

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裏表紙の裏はこの号もサバティーニを起用のFUJI FILM のフロッピーディスクで前号の使いまわし。

最後はログイン
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新世代への鍵 砂原 秀樹(月刊ASCII 1986年6月号16)連載 [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

砂原 秀樹氏の連載をスクラップする。

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35年後になっても面白く読むことができた。いかに自分が無知であり続けていたことが分かる。

 素子技術による処理の高速化が限界に近付きつつある現在,処理速度の壁を打ち破るためには計算方式の根本的な改善が必要である.その1つの考え方として古くから研究されているのが,並列処理方式である.
 しかし,これまでに登場した並列計算機のうちで実用的なものはごくわずかにすぎない。その原因はどこにあるのだろうか?
結局並列処理というのが良いアイデアなので35年間続けられてきたということだろう。
 複数のプロセッサを用意し,同時に複数の命令を実行することで処理の高速化を狙う並列処理方式は,計算機建築家にとって非常に古くからある研究課題である.並列計算機開発の歴史の源流は,世界最初の電子計算機ENIACに遡ることができる。当時,並列処理というものが意識されていたかどうかは別として,ENIACの持つ20個の累算器,そして1個の乗算装置と1個の除算開平装置はそれぞれ独立して動作させることができ,それらを同時に稼動させることによって一種の並列処理を実現していたことになる.しかし,プログラム内蔵式計算機の登場以後,次の並列計算機の登場は1964年のCDC6600を待たねばならない。
なんと計算機は最初から並列処理を実現していたとは、並列処理は基本的なものだったということか。

 1964年にControl Data Corporation(CDC)が米国ローレンスリバモア国立研究所に納入した計算機CDC6600は,当時最高の計算速度を実現することが目標であった.そのために,CDC6600では8種10台の独立した演算装置を用意し,複数の演算を並列に実行することにより処理の高速化を図っていた.この,並列に実行できる演算の検出はコンパイラなどにより自動的に行われる.こうした工夫により,CDC6600では1MFLOPSという当時としては驚異的な処理速度を実現していた.
 その後,CDCはCDC7600(5MFLOPS),CDC STAR100(50MFLOPS)と,常に時代の最高速計算機を目標に開発を続けた(これらはいずれも,後述するパイプライン型の計算機である).1972年,それらのプロジェクトの中心的人物であったS.CrayがCDCをスピンアウトし彼自身の会社Cray Research Inc.を設立したため,CDCは主役の座をCray Researchに明け渡すことになる.しかしCDCは超高速計算機の分野から撤退したわけではなく,CYBER205(800MFLOPS)などを開発しCrayを常に脅かす存在となっている。
 Cray Research Inc.の設立と同時に発表され,たった4年の短い開発期間で登場したCRAY-1は,商業的に成功した最初の並列計算機の1つと言えよう.CRAY-1ではCDC6600の経験を汲み,複数の独立した演算装置を用意すると同時に,パイプラインという技法を用いて,科学技術計算に多用されるベクトル計算を高速に処理できるようになっている.
並列処理にパイプラインは35年後のパソコンでは基本的なものになっている。スパコンnの技術ををパソコンで使えていることが嬉しい。
第1の光
 パイプライン技法とは,ある処理を細分化し,それぞれをオーバラップさせて実行することにより高速化を図る技法である.例えば,ノイマン型計算機の実際は「命令の読み出し」「命令の解釈」「命令の実行」のように細分化されるが,これらを図1のようにオーバラップさせて実行すると処理時間を短縮することができる(実際には分岐命令などがあるため,前もって解釈しておいた命令が無駄になる場合もある.しかし,分岐命令などの流れを乱す命令の実行される確率は非常に低いため,この方法が有効に作用するのである).こうした方法は,80286など最近のマイクロプロセッサなどでも多く採用されている.

ASCII1986(06)f02新世代への鍵_図1_W520.jpg
第1の光
 このようなパイプライン技法をベクトル演算(配列の演算)に適用したのが,CRAY-1などに利用されているパイプライン式ベクトル演算ユニットである.

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 上に示したようなプログラムを実行した場合,全体で64回の乗算が行われることになる.したがって,一般の計算機でこれを実行すると図2(a)のようになる.しかし,CRAY-1では1回の乗算(浮動小数点演算)を7段に分けており,その各段をオーバラップさせて図2(b)のようにパイプライン化することで処理の高速化を図っている.したがってある一瞬を見てみると、7つの乗算を同時に実行していることになる.

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 これで明らかなように,パイプラインの段数を多くすれば多くするほど並列に実行される命令の数は多くなる.しかし逆に,パイプラインの各段全部が稼働するまでの時間(つまり,最初の計算結果が得られるまでの時間のことで,立ち上がり時間と呼ばれる)が長くなるため,あまり多くの段数に分割してもそれほど効果は得られない。
 こうした自己矛盾を解決するために,CRAY-1ではチェイニング(chaining)という方法を利用できるようになっている.これは、1つの演算の結果をいったん中間結果として記憶装置に格納せずに,次の演算を引き続いて行う機能である。

ASCII1986(06)f02新世代への鍵_リスト2_W337.jpg
 例えば,ここに示されるようなプログラムを実行する場合,基本的には,まず「A(I)*B(I)」の計算を配列の全要素に対して行った後,その結果とC(I)の加算を行うことになる.これに対しチェイニングという技法では,図3に示したように「A(I)*B(I)」の最初の要素の結果が求まるとすぐに,その結果と「C(I)」の加算を開始できるようになっている.つまり,演算のパイプラインをつなぎ合わせる処理方法がチェイニングである。

ASCII1986(06)f02新世代への鍵_図3_W320.jpg
 これにより,必要に応じてパイプラインの長さを調節できることになり,効率的な処理が可能となる.
 CRAY-1の成功の原因は単にパイプライン処理による処理の高速化だけではなく,こうした柔軟な対応能力にあったわけである.このほかにもCRAY-1ではさまざまな工夫がなされているが,それらはS-810,VP-400,SX-1,CRAY-2など,今日の科学技術計算用スーパーコンピュータに受け継がれている.
 しかし,こうした計算機において高速に処理することができるのはベクトル演算のみであり,スカラ演算などの処理速度は一般の計算機なみである.したがって,記号処理などベクトル演算をあまり含まないプログラムの実行を高速化することはできない.また並列処理とはいうものの,その範囲は対象となるベクトル演算の周辺のみであり,より広範囲におよぶプログラム全体としての並列性を引き出すことは難しい.
 これらの問題点は,パイプライン型計算機が従来のノイマン型計算機でのベクトル演算をパイプライン化しただけにすぎず,その原理はまったく変わっていないために起こるのである.したがって,パイプライン型計算機といえども,フォン・ノイマンの原理から脱却することはできないのである.
思い出した。35年前は画像や動画圧縮とかをパソコンで処理できるような時代ではなかったので並列化にはあまり思いが至らなかった。とにかくシングルスレッドを速くという考えしかなかった。だってV30のクロックはたった10MHzだったのだから。今より数百倍も遅いCPUだった。毎年のようにクロックが上がっていく時代は並列化よりも高速化が望みだった。
オーケストラ
パイプライン型計算機の開発と並行して,まったく別の原理に基づく並列計算機が開発されている.それは,64000人の人間が指揮者に合わせて計算をしデータを交換しながら非常に膨大な数値積分を行うというリチャードソンの発想(これは,1920年というまだ電子計算機のない時代の発想である)に基づく計算機で,演算装置と記憶装置を持つプロセッサを多数用意し,それらを1つの制御装置で制御し処理を進めるようなアレイ型計算機である。1965年米国イリノイ大学で開発を始めた「ILLIACIV」は,こうした計算機の中で最も有名なものの1つであろう.
 ILLIAC IV計算機の本体は,正方格子状に配置された64台のプロセッサ(PU)と,それを制御する1台の制御装置(CU)で構成されたプロセッサ・アレイである(図4参照)。これに,入出力の処理を行うための入出力サブシステムと,ホスト計算機のバローズB6500を加えたものがILLIAC IV計算機の全体像である。当初の計画では、4台のプロセッサ・アレイが実装される予定であったが,実際には1台のみが実装された.

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 さてここで,ILLIACIVを例としてアレイ型計算機の動作原理について説明しよう.
流石に素人にはこの辺は難しくてよく分からない。
第2の光
 アレイ型計算機の動作原理は,リチャードソンの発想そのままである.つまり、1台の制御装置(CU)が指揮者となりながら,64台のプロセッサ(PU)が同じ命令を実行していくわけである.たとえば,AddならばAddという命令を、全部のPUが実行するのである.
 CUはプログラムカウンタを持ち,そこで命令の取り出し・解釈を行い,それに基づき64台のPUが一斉に同じ命令を実行する(つまりプログラムカウンタは1つしかないことになる).
 例えば,前出のリスト2のプログラムを実行する場合,各PUに配列A,B,Cの各要素を格納しておき,まず乗算を,続いて加算を各PUで1回ずつ一斉に行うだけですんでしまう。したがって,その実行時間は一般の計算機で乗算1回と加算1回を実行する時間と同等であり,配列の要素が64個の場合それだけで64倍のスピードが得られるわけである.

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 しかし,配列の演算は同じ添字の要素同士の演算であるとは限らない.例えば,リスト3のようなプログラムを実行する場合を考える.配列Aの各要素を各PUが格納している,つまりA(I)の内容を格納しているのはPU#I-1であると仮定すると,加算の対象となるデータA(I)はそのプロセッサに,A(I+1)はすぐ隣のプロセッサに格納されていることになる.したがって,リスト3のプログラムを実行するためには,まず隣のプロセッサからA(I+1)をもらってきた後に,A(I)との加算を行うことになる(図5参照)。

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 アレイ型計算機では,このように他のプロセッサとデータを交換(交信)することで添字の異なる要素同士の演算を実現している.ここで問題となるのは,各PUが直接交信できるPUは数台しかないという点である(ILLIAC IVでは4台)、それ以外のPUと交信を行うためには,その間にあるPUに中継をしてもらわなければならない.したがって,効率的な処理を行うためには,できるだけ隣のプロセッサとだけデータの交換を行うように配列の要素の配置を考えなければならないのである.しかし,アレイ型計算機が対象とする偏微分方程式などの応用分野では,そのような配置は比較的容易に実現できることが明らかにされている.
「偏微分方程式などの応用分野では,そのような配置は比較的容易に実現できる」といわれても素人にはピンとこない。特定の分野でのシミュレーションとかには利用されたのだろうか。
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 ところでアレイ型計算機では,常にすべてのPUで同じ命令が実行されている.しかし,リスト4に示されたような条件分岐を含むプログラムを実行する場合,すべてのプロセッサが同じ命令を実行しては困ることがある.
 こうした問題を解決するために,ILLIACINでは各演算装置ごとにモードフリップフロップと呼ばれるものを設けている.このモードフリップフロップが1のときは演算を行い,Oのときは演算を実行しないようになっており,これで条件分岐を実現している.リスト4のプログラムの場合,まずIF文の条件によって各PUのモードフリップフロップを設定し,THENの部分の命令を実行する.さらにモードフリップフロップの内容を反転させて,ELSEの部分を実行することにより結果が得られる.ここで注意すべき点は、モードフリップフロップが0の間,PUは休んでいる状態にあることである.したがって,場合によっては大幅な性能低下を招くおそれがある.
 この他,演算の対象となる配列の大きさとプロセッサ・アレイの大きさが異なる場合の要素の割り当ての問題などさまざまな問題があるが,応用分野を特定すれば非常に効率のよい処理を行うことができる.
 ILLIAC IVプロジェクトは、その当時の実装技術の信頼性が低かったために必ずしも成功を収めたとは言いがたいが,さまざまな並列アルゴリズムの開発など,のちの並列処理技術研究に多大な影響を与えた.また,このようなアレイ型計算機の考え方はその後,非常にユニークな計算機を生み出した.
 1979年に,英国のICL(International Computer Ltd.)が開発を始めたDAP(Data Array Processor)はアレイ型計算機であるとともに,非常に興味深い構造を持っている.
 DAPでは,4K×1bitのメモリを持つプロセッサが,64×64(4096)台のプロセッサ・アレイを構成している.これらのプロセッサは,1bitの全加算器と3個の1bitレジスタからなる.したがって,1つのプロセッサの演算能力は1bitのみということになる(図6(a),(b)参照).そのためDAPでの演算処理は,各プロセッサが独立して直列に行う場合(データを1bitずつ読み出しながら行う方法)と,隣のプロセッサと協調して並列に行う場合(データの各bitを各プロセッサが担当して行う方法)がある。
「応用分野を特定すれば非常に効率のよい処理を行うことができる」とかはそうだろうと納得がいくし、「必ずしも成功を収めたとは言いがたい」なんだから知らなかったのは当然か。
ASCII1986(06)f03新世代への鍵_図6_W520.jpg
 また,DAPにはMCUレジスタと呼ばれる多数のレジスタが用意されており,これがプロセッサ・アレイ中を縫うように走るデータハイウェイを介してプロセッサと接続されているプロセッサは1bitの処理能力しか持たないため、プロセッサ・アレイの列または行に対応するMCUレジスタのbitと接続されることになる.つまり,i列j行のプロセッサはMCUレジスタのbit iとbit jに接続されている。
 このようなプロセッサ・アレイは,ホスト計算機からは図7のような3次元のメモリとして見ることができる.しかしそれは,単にホスト計算機のメモリとして動作するだけでなく,能動的にデータを処理する“Logic in Memory"という発想を含んでいる.

ASCII1986(06)f04新世代への鍵_図7_W520.jpg
 さらに,図7に示されるように垂直方向や水平方向などさまざまな形式でデータを格納することができ,DAPに柔軟なデータ処理能力を与えている.
 1980年に最初の3台の商用機が設置され,現在も稼働中であるDAPはさらに拡張・改良が続けられており,今後が期待される.
 アレイ型計算機は,複数の演算装置を用意し,それらで同時に同じ命令を実行することで並列処理を実現していた,しかし,並列に実行できるのは同じ命令にすぎず,効果的に動作させるためには応用分野を特定しなければならなかった.これは,アレイ型計算機が結局はノイマン型計算機の変形にすぎなかったことに原因がある。つまりアレイ型計算機も,フォン・ノイマンの原理から脱却することはできないのである.
非ノイマン型のコンピュータを知らないから、何がどう不満なのか分からない。ノイマン型でいいではないか。素人には不満が分からない。
第3の光
 Flynnの分類によると,アレイ型計算機は複数のデータの流れ(stream)を1つの命令の流れで制御している。つまりSIMD型(single instruction stream/multiple data stream)の並列処理方式に属する.このように考えると,複数のデータの流れを複数の命令で並列に制御するMIMD型(multiple instruction stream/multiple data stream)の計算機を考えることができる.
 こうした考え方に基づき開発されたのが,Carnegie-Mellon大学で開発されたC.mmpやCm*である.これらの計算機は,DECのLSI-11を複数台用意し,それらを共有メモリや階層バスで接続したものである.こうした計算機では、処理は基本的に個々のプロセッサで独立に進められる.したがって,それらの処理は一般の計算機と変わりない.そして他のプロセッサと交信をする必要が生じた場合にのみ,共有メモリや階層バスを介して他のプロセッサとデータを交換する.このとき次のような問題が生じる.
 いまここで,プロセッサ1からプロセッサ2へデータを次々と転送している場合を考える.一般にこれを実現するために,共有メモリ上にバッファを設けそれを介してデータの転送を行うが,その際バッファの溢れや空を検出するためにバッファ中のデータの数を管理することになる.そこでバッファ中のデータの数を共有メモリ上のアドレスAに格納し,プロセッサ1ではデータをバッファに入れるごとに,アドレスAの内容を読み出し,それに1を加えてアドレスAへ書き込む処理を繰り返し行う.またプロセッサ2では,バッファからデータを取り出すごとに,アドレスAの内容を読み出し,それから1を引いてアドレスAへ書き込む処理を繰り返しているとする(図8参照).

ASCII1986(06)f04新世代への鍵_図8_W414.jpg
 こうしたときに,ある時点でアドレスAの?容が5であったとしよう.この時,それぞれのプロセッサでの処理が図9に示すような時間関係で行われた場合,アドレスAの内容が正しいものではなくなってしまう.これは,プロセッサ2がアドレスAの内容に変更を加えている最中に,プロセッサ1がアドレスAを読み出してしまうために起こる.

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 これを解決するために,MIMD型の計算機ではあるデータに変更を加えている間は他のプロセッサからアクセスできないようにする機構を用いている.たいていの場合はそのために特別のハードウェアを設けるわけではなく、ソフトウェアによってデータのロック・アンロックの処理を行っている.
この機構マイコンのCPUにも登場したと思う。あやふやだけどマルチコアCPUの1次キャッシュへのアクセスがこれではなかっただろうか。
再び
 MIMD型の計算機は,共有データのアクセスのたびに起こるデータのロック・アンロニック処理のオーバヘッドや,他のプロセッサによりロックされているデータをアクセスする際に生じる待ち時間などのため,処理の高速化という点ではあまり貢献しなかった.結局,MIMD型計算機も,フォン・ノイマンの原理を脱却することはできなかったわけである.
 しかし,C.mmp上に実装されたHydraなどのオペレーティング・システムは,「オブジェクト指向」という新しい概念を生み出したのである.MIMD型計算機は,オブジェクト指向という一般的な問題を並列に処理するための新しい示唆を与え,その後の計算機科学の歴史に大きな影響を与えたのである.
 やっと一筋の光明が見えてきた.
うむ、ここで「オブジェクト指向」が出てくるとは。
とにかく35年前は理解できないことが、その後のCPUの進歩や言語の進歩を体験したことにより少しはコメントを書けるようになった。
スクラップ作業は楽しい。

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HONDAがめざすOA ビジネス・インタビュー(月刊ASCII 1986年6月号15) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

35年前のOA化導入に関するインタビュー記事。この35年間職場のデジタル化は信じられないほど進んでいない。ゲームの進化がものすごく進んだのに、ビジネスはどうしてダメなのか。
記事をスクラップする。
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 ここ5年間の自動車の売上動向を見ると,興味のある事実が浮かぶ.トヨタが圧倒的な強さを発揮しているのに対し,他のメーカーのシェアは低下する一方である.その中で,ただ1社シェアを確実に伸ばしているのがホンダである。アメリカ市場でトヨタと互角に戦えるホンダの強さを支えている要因は何か.昨年完成したホンダの新しい本社ビル「ホンダ青山ビル」はインテリジェントビルとして,高度な情報機能が注目されている.ホンダの情報システムの基本的なコンセプトがここに実現しているとにらんで,情報システム部の担当者である鈴木さんにインタビューさせて頂いた.
35年前のことだから古くさい参考にもならないかと思っていたが、そんなことなかった。35年後にやっと国がデジタル庁を作って本格的に仕事をデジタル化しようとしているがあまりにも遅すぎる。
はじめに 編集部:今日は,この新しいホンダ青山ビルに結実した,ホンダのオフィス革新について,コンピュータ部門の企画の中核的役割を果した鈴木さんからお話をうかがいたいと思います.
鈴木:当社では,昭和52年からマルJ計画と呼ぶ事務管理の体質改革運動を手がけてきました(解説参照).これは,当時の河島社長が就任した時に指示したことをプロジェクト化したもので,人材開発,活性化,事務の進め方など6つのテーマを掲げて3年計画でやったのですが,その後の昭和55年6月に当ビルの建設計画が出てきたのです.
編集部:単に今はやりのインテリジェントビルを作ろうというのでなしに,背後にはきっちりした全社的な事務改善計画があったというわけですね.
鈴木:そうですね当時はインテリジェントビルという言葉もなく,OAも概念としてはありましたが,どの様になっていくのか見えませんでした.従って,今後オフィスをこの様にしたい、どの様に付加価値を上げるかということが重要なテーマになったわけです.そこでマルJ運動の中から出た成果をオフィス構造に実現させること,オフィスの現状をどう変えるかということを攻め口として,これから説明するEX-0計画がつくられたのです.これは,このビルの中だけのことではなくて,会社全体で進められています。
編集部:そのEX-0計画のねらいはどんなものなのですか.
鈴木:全体としては、図1のような7つの攻め口があるのですが,これは,いってみればマルJと人材育成とOAの統合されたものだと思っていただけばいいでしょう。たとえば,「スッキリした職場」というのは,マルJから来たもので,思いきったペーパーレス化がうたわれています.通常文書管理のOA化というとすぐ光ディスクのことが言われるわけですが,それではだめなんです.
編集部:と言いますと.
鈴木:ただ書類をやみくもに光ディスクに入れるだけでは、どんなに容量が大きいと言っても,うちではディスクだけで1フロア埋まってしまうことになりかねないのです。ですからまず書類の数そのものをへらす,これが「1枚ベスト」の徹底です。次にコピーをへらす,このためには各人が書類を専有せずに共有化をはかる.当社は役員室まですべて大部屋方式をとっていて、ファイルキャビネットも3段のものに統一して,壁面を使っていません。以前は一人あたりのファイルのスペースが1.5mでしたが,このビルでは82cmです。

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ペーパーレスとか「1枚ベスト」とかが各職場に浸透するのには時間がかかった。10から15年以上はかかっていたたと思う。
OA化の攻め口
編集部:EX-0運動で観るOAとはどんなものなのでしょうか. 鈴木:ちょうど,昭和56年頃からパーソナルコンピュータが出てきて,これを使わせてほしいという声が出るようになったのですが,当社としてはこれを抑えてきました.これは,マスコミとメーカーさんの宣伝が上手で,抑えるのに困りました.20年もコンピュータを利用してきた経験から,スタンドアロンでしか動かないものを入れたってしかたがない,システム全体をまず組み替えるのが先決じゃないかという考えによるものです.
 まず,ネットワーク化・データベース化を確立して,そのデータをパーソナルコンピュータへ落とすことができるようにする必要があるわけです。販売・製造その他の必要なデータは,どの会社でもみんなコンピュータに入っているわけですから。
編集部:それで,どんなアプリケーションが必要だということになったのですか.
鈴木:基本的にはEDP基幹システムを中核に据えています.ただ,今までのコンピュータの仕事は「人」に対する配慮が足りなかった。そこで,オフィスの共通の仕事に関するアプリケーションの開発というのが,まず考えられます.これで、ルーチン業務を徹底的に効率化する,「定常業務のスリム化」を狙います.
 次は,「内部コミュニケーションの円滑化」です.ホンダは国内海外ともに,非常に地域的に分散しているので,コミュニケーションを円滑に行う必要があります.これを,コンピュータのネットワークを生かして,距離を感じさせないシステムにする.それも,ニューメディアも使ってビジュアルに見せようという所まで、狙うことにしました.
 このようなことが完成すると,期待できるのが「思考のレベルアップ」です.思考というのは定常業務のなかの企画・判断業務と非定常業務を合わせたもので,コンピュータでルーティン業務をまず効率化して,次にこの思考業務まで効率化できると余裕が生まれます.この余裕が会社の筋力になると期待できるわけです.
編集部:具体的には,どんなことで思考の効率を上げるのですか.
鈴木:それは,この種の仕事の流れを考えてもらうとわかりますが,まず,情報の分析をする,それから,モデルを作ってシミュレーションや予測を行う,それを会議でプレゼンテーションして,ワイワイガヤガヤやる。当社ではこれをワイガヤと言いますが,これら企画,意志決定を効率よくするために計画したわけです.
 以上の攻め口は,いわば生産性のアップです。次の狙いは「事務のエキスパートの育成」です。イベントのプロジェクトを計画する場合,たとえばアメリカに四輪車の工場を作るとすると,必要なエキスパートの種類はたいへんな数になります.これが,うまく集約するためには各人がすべてその道のエキスパートでなければならない、と同時に,システムとして構築することが絶対に必要です.このような人材を育成するには,断片的な教育ではだめで一貫したコースをOJT(業務内トレーニング)に組み込まなければいけません.ワードプロセッサと簡易言語を使いこなすことはあたりまえというようにならなければいけないわけです.
 最後の攻め口が「快適なオフィス環境」です.これは、「思考場」としての現場を大切に,安全・快適・柔軟なオフィスにするということで,照明とか配線,レイアウトの変更への対応が考えてあります。
例えば,照明はすべてモジュール方式にして、どこも同じ明るさにしてあります.こうすると,コンピュータ作業がやりやすいと同時に,照明の明るさを気にせずに,オフィスの配置が変更できるわけです.
 このような,EX-0運動を59年から始める中で,このビルの建設は先行トライとか動機づけの効果を期待しているわけです。
事務のエキスパートの育成」で「.ワードプロセッサと簡易言語を使いこなすことはあたりまえというようにならなければいけないわけです.」とあるが、2000年を過ぎたあたりパソコンを使える(ワープロ、表計算)のがあたり前の時代でパソコンを使えない年寄りが阻害されていた時代だった。最近では逆にパソコンを使えない若者が登場してきた。これは流石に予想外だった。スマホで業務ができるようになったときが真のペーパーレスになるのだろうか。
革新の支援をするHARMONY
編集部:このビルの色々なしかけの裏にはそういう考えがあったわけですね.つまり,これらのしかけは全体的な構想に基づいている。
鈴木:それがHARMONYシステムと呼んでいるものなのです.これも単にこのビルだけの話ではなくて、当社の全世界の組織を結ぶデータシステムを基幹に置くものです。埼玉県の和光市にIBMの大型マシン「シエラ」があり,これに7つの統合されたデータベースが納められています.この,オンラインの端末をすべてIBMの5500に統一したのがミソです.
 このHARMONYシステムは図2のように5つの概念からなっています.さきほどの「思考業務支援」は,データベースの利用をいかに効率的に行うかというもので,IBMの「AS」という意志決定支援ソフトを使い,データを加工したりグラフにしたものを,日本とアメリカで同時に同じ画面を出せる会議システムで利用できるようにしました.
 次の「オフィス共通業務支援」は,細かい事務の効率化に役立てようというもので,電子ファイルと文書作成,文書検索(ともに開発中),電子伝票,出退勤,食堂の5つのシステムがあります。電子ファイルは,文書をイメージで管理するものですが,これは,まだ技術の進歩待ちの要素があります.通信のコストとスピードが十分でないので、ビルの外とはまだ無理のようです.
 文書検索は,さきほどのファイリングの合理化を助けるもので,書類の集中管理の補完として,何がどこにあるかを教えてくれるものです.これは,ファイリングの基準がしっかりしている必要があり,まだ立ち上がっていません.電子伝票は経理の窓口の役割をするもので,本社だけで1日2万4000枚ある伝票のうちの2万枚をしめる小口伝票の発行を対象に管理するものです.これで、出張旅費の精算を当人がすぐにできるようになりました.経理や管理の業務の手間を減らすのがこの第一ステップで,やがてはカードでみんなすませるようにしたいですね.出退勤は,私の胸に下がっているIDカードが基本になっています.これには,名札,身分証明,個人の識別,情報のアクセス制限の4つの機能があってカードリーダーを介して勤務時間と食堂の精算に利用できるわけです.
編集部:会議室の入口のリーダーをこすると電話が転送されるというのもありましたね.
鈴木:それは次の「オフィス行動支援」機能です。会議の予約,スケジュール管理,電子メモ,連絡先明示と入室管理システムです.これもこのビルの中だけで|はあまり効果は期待していません.オフィスを越えてこれが機能すると効果があると思います.
編集部:最後がニューメディアの関係ですね。
鈴木:分散しているオフィス間のコミュニケーションを支援するもので,まずビデオテックスのシステムがあります.これは社内の広報に使うもので,コンピュータのデータを絵にして見るものです.これは,会社の基本データは全員が知るべきだという考えによっています.
 次に音声応答システムというのがありますが,これは社外から使うと便利なもので,端末の無いところからコンピュー・タのデータを音声で聞けるものです.
 電子メールシステムは,当社のネットワーク上の総ての端末でサポートされているもので,昨年8月19日に5550のメニュー画面にこれらのものがすべて組み込まれて利用できるようになりました.今後これらをホンダ全社に展開してお互いに見えるようにしたいというのが課題です。

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多分こういったこと、つまり事務処理等の業務のOA化が進んでいなかったところは公官庁だったと思う。民間は金をかけて合理化することで利益を生むので真剣に行うが、公官庁は利益を上げる必要がなく業務を合理化する必要もない。事務を合理化して人員を減らしたくなかったのだろう。利益を上げることのない公官庁は予算をかけてOA化することに抵抗する部署があったと思われる。旧大蔵省とかの予算を握っている部署と会計検査院等の予算執行を検査する部署だ。税金を使ってまでOA化する合理的理由を説明できなかったのだろう。「OA化しなくても業務に支障はなかったのでは?」「合理化すると人員を減らせますよね?」という突っ込みが嫌だったのだろうか。
技術と人の進歩が課題
編集部:このシステムの開発はどのように行ったのですか.また,コストと効果の評価はどうお考えですか.
鈴木:これはIBM社との共同開発でして,180台の端末は当社のものですが,ソフトの開発については,2年間両社が研究,開発するかたちをとりました.プロジェクトの本部がシステム設計をして,情報システム部とIBM社がシステム開発を行っています。
編集部:パソコンの5550の部分は,一応統一されたOSで全部のデータやプログラムが管理できるのですか.
鈴木:いやいや、あいかわらずバラバラですよ.OA関係のホストにIBMの4300を置きまして,そこから5550を自動的に起動・停止したり,マルチプランからBASICプログラムというようなチェインだけはできるようにしましたけれど,ファイルは別々に管理されてます.
編集部:いわば遠大な計画の一環としてのEX-0運動ですが,今の時点での問題はどのようなものでしょうか.
鈴木:色々ありますよ思考業務支援については今までカンでやっていた仕事ですから,これを使いこなすには各個別の部門での業務のレベルアップが必要です。それも一連の流れの機能になっていますから途中のどこかがコケると皆だめなので,定着化するには時間がかかると思います。
編集部:これらのシステムプログラムはどこで作っているのですか.
鈴木:私どもの情報システム部にある0Aセンターでやっています。慣れるといえば,オフィス行動支援もまだあまり使われていませんね.これも無理ないことで,自分のスケジュールを機械に入れても自分の役には立たないわけです.手帳の方が便利ですから、そのスケジュールに合わせる他人に役に立つものなので,これも意識改革の必要があるわけですよ.このためには,今よりもっとマンマシン関係が改善される必要があります。現状では5~6人に1台の端末を1人に1台にしなければいけない.ぱっと使えなければダメなのですが,そのためにはまだ機械が高いですね.1台20万円ぐらいになってほしい.
編集部:たとえば、カードを忘れて会社に来ちゃったりとか,このシステムに変わってからの評判はどうですか。
鈴木:カードを忘れたら会社に入れませんから,有給を取って帰ります.というのは冗談で,守衛さんにいえば会社には入れますが,端末が使えませんから,情報が見られなくなりますね.
 思考支援のシステムなんかは会議にまでつながりますから,結構人気が出てきました.電子伝票も女性の仕事が軽くなって,本格的な業務ができる効果があります。
 コストと効果は私共なりに基準を持っておりますが,まだ完成したわけではなく,今年度の結果を踏まえて評価を計画しています。
 IDカードなどは,いわば世の流れですけれども,今後のオフィスのありかたについてのベクトルを指し示したものが,このHARMONYだといえると思います。当社では人間尊重の方針に基づいて,やってきた成果が今花開かせられるようになったわけです。
編集部:今日はどうもありがとうございました。

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繰り返しになるが、日本の公官庁における事務処理を含む事務のデジタル化は遅かった。35年もたって、やっと不要なハンコを押す慣行が廃止された。

【解説】
マルJからEX-0へ。ホンダの事務合理化の流れ
【編集部】

 ここ5年程の我国の自動車メーカーのシェアの動きをグラフにしてみると,大きな変化があることに気づく(図7).
 一番目立つのはなんと言ってもトップメーカーのトヨタのシェアがどんどん伸びて37%から41%へと圧倒的な差をつけ,1位の座をますます強固にしたことだろう.それにひきかえ,二位の日産はシェアが年々低下して長期的には二位の座が危ぶまれる程に調子が悪い.この傾向は下位メーカーの三菱自動車も同様で,一時は親会社との合併が噂になった程だ.マツダもファミリアの好調で調子を上げたが,グラフを見ると58年からは伸びがとまりシェアが低下を始めている.トヨタの強さは圧倒的なわけである.
 ところが,この中で一社だけグングン力をつけているのがホンダだもし君がクルマ好きでこの理由をたずねられれば,もちろんトヨタの強みはソアラやマークIIの強みで,日産の弱味はスカイラインの不調にあって,マツダはファミリアに頼りすぎたとか,ホンダが伸びたのは,シビックのせいだと答えるに違いない.でも,もし君がクルマの他に経済や経営に関心があればトヨタの強い理由として,「カンバン方式」という生産管理のシステムを上げるかもしれない.
 クルマは確かに大衆消費市場の商品だから「人気」が最後に会社の業績を決める.人気の出るクルマを次々に市場に出すためには,従来は生産や技術に関する力が試されていた.しかし,日本の自動車メーカーの技術力が世界のトップレベルに並んだため,それ以外の面の会社の実力が問題となってきたのである.それは,人材の厚さであり,情報力であり,それをささえるコンピュータの利用技術であるといわれている.ホンダが業績を伸ばしている背景には,会社の体力となる事務部門の効率の良さと,それを支える人材の力が大きく作用していると考えられるのだ。
ユニークなマルJ運動
 ホンダのこのような間接部門の強さは、本記事の鈴木さんの話にあるように「マルJ運動」によるところが大きい,マルJとは,石油危機後の状況の中で全社で取り組むプロジェクトとして,四輪車工場のアメリカ進出などとともに重要な課題として計画されたもので,「事務効率化推進計画」の頭のJを丸で囲んでマルJと略したものである。
このねらいは,
1.人間関係費用の節減
2.事務効率の向上
3.事務部門における働きがいの再開発
4.情報収集・処理体系の整備
の4つとされている.単に「コピー代を減らしましよう」というようなケチな内容ではなく、事務管理部門の人達のバイタリティを重視して,効率化と付加価値の向上による企業の体質改革をめざす野心的なものであった.運動の展開は,部門展開,プロジェクト展開,全社キャンペーンの3つの段階が3年で行われ,さらに継続されて,本文のEX-0計画に発展した。計画は非常に独創的であり,また大胆な内容となっている.例えばファイリングについては,その知識を研修させるだけではなく、1人あたりの書類スペースを従来の2.5mから1.5mに制限したり,用紙をA4・A3サイズに統一し,報告書は1枚にまとめる「1枚ベスト」を規定したり,会議の時間も1時間ベスト,3時間MAXの制限をし,それをこえるものは届け出制にし,会議の成果やコストを終了後すぐにまとめさせるなど,日本人の思考に合わせた巧妙な仕掛けをいくつも開発している.
 この運動の成果は金額に換算して65億円から70億円ものぜい肉を落したと評価されている.このような,アメリカ流の合理化とも異なる独創的な切り口は,現在のEX-0運動にも受け継がれホンダの体質の強化のもととなったわけで,その効果が先ほどのグラフになって現れたといえるのではないだろうか.
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なるほど、「この運動の成果は金額に換算して65億円から70億円ものぜい肉を落したと評価されている.」ならば、公官庁がOA化を進めないわけだ。予算を使いきるのが仕事なわけだから。35年前は3月になると道路を掘り返すということが言われていた。予算を使いきらなければならないため年度末ぎりぎりに工事をすることになる。35年前は予算が減るなんてことは考えられていなかった。次年度予算を減らされないため仕事をする公官庁のことだからOA化による事務の合理化に消極的だったのだろう。
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PC-9801用MAGIC-30, Mac用エミュレータ(月刊ASCII 1986年6月号14) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

TEST ROOM の記事からカノープス電子(株)のMAGIC-30をスクラップする。

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MAGIC-30はVMより前のPC-9801シリーズの拡張スロットにセットしてCPUをV30にするボードであった。8086CPUをV30CPUに交換しただけではだめだと解説されている。
 単なるCPUの差し換えだけでは,8086とV30が要求するクロックデューティ比の違いと,周辺LSI(特に8251)への連続アクセスによる動作不良が発生する.MAGIC-30ではV30の規格を満たすようにシステムクロックを加工してCPUに供給している.また,周辺LSIに対するアクセスの後は一時的にV30の実行速度を低下させて,8086と同等のアクセスインターバルを実現している.

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35年前ショップでは下取りをしていたので、買い替えしてもそんなに差が出ない。価格が49,800円であり、どのようなユーザ層をターゲットにしていたのか分からなかった。

米国ではエミュレータというものに一定数の支持があったのだろうか?日本ではエミュレータを目にすることがなかった。
Macintosh用Apple II エミュレータの「II in a Mac」
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エミュレータソフトなので当然速度は遅くなるが
 さて,このあたりでそろそろ気になるのが動作速度だろう.そう,ソフトウェアによるエミュレータでここまで機能を追及すると...当然ながら速度はまったく期待できない.
 例によってアセンブラによる単純なループの実行時間を測定したところ,Mac+IIの約8.5倍の時間を要した.これは本物のAppleIIのなんと57倍にもなる。ただし,APPLESOFT BASICのプログラムは逆にこのIIinaMacの方が速く,Mac+IIの23から12の実行時間となった.これは本物の3~5倍の実行時間である.
速度については、このありさまだった。BASICでは実行速度がエミュレータで逆転していたが、得意不得意があるということだ。
米国のソフトウェア市場は分からない。
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富士通OASYS 100R(月刊ASCII 1986年6月号13) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

TEST ROOM の記事をスクラップする。

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ワープロのOASYSをパソコンにした製品。こう書いてみたがパソコンとワープロ専用機にどう違いがあるのか35年後では意味不明だろう。

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売りはOASYSの親指シフトだった。親指シフトは当時熱烈なファンがいたようだが、私の知人にはいなかった。文章作成で飯を食っている人たちがファンとなっていたのかもしれない。
ただ、肝心のキーボードが酷評されていた。「タッチが非常に軽く、ストロークの全域に渡ってまるで抵抗がない。せめてスイッチの入る部分にクリックがあればぐっと使いやすくなると思われる。現状では触れただけでも反応してしまうので、思わぬ反応にびっくりすることになる。」これじゃダメでしょう。

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ハードウェアスペックは平凡だった。CPU 8086, RAM 512KB, 640×400ドット。

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35年前のパソコンの表示画面はこんなものだった。

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どうして35年前はこうしてBASICを日本語化したかったのだろうか。変数名とかサブルーチン名とかは日本語化するのはありだろうけど命令文まではどうしたもんだか。Excel マクロのVBAみたいな感じにしなかったのはなぜだろうか。簡単な英単語なのに35年前のユーザはどれだけ英語に拒否感があったというのだろうか。
 要するに,現段階ではOASYS100Rは1台の機械で2種類の動作環境を使えるただそれだけのマシンにしかすぎない.今後はこの2つの環境をいかに有機的に結合させるかが目指すべき方向だろう.あるいはより高パフォーマンスのCPUを採用して,OASYSとMS-DOSをコンカレントに実行するといったアプローチも考えられないことはない.それだけの魅力を秘めたマシンだと思う.
 しかし,価格的に考えれば現時点でも,2台分の能力を持ち,コストパフォーマンスは相当に高いレベルにある.使いやすいワ-プロも欲しいがMS-DOSを搭載した16ビットパーソナルコンピュータも欲しいという欲張りなユーザーにはうってつけの1台だろう.というより,MS-DOSを搭載した専用ワープロはこの1台しかない

専用ワープロでなくてもパソコンのワープロソフトではダメだったのだろうか。ダメだという理由が分からない。一体何台売れたのだろうか。


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用語解説 特集CD-ROM(7)(月刊ASCII 1986年6月号12) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事「CD-ROM 徹底研究 CD-ROMのすべて 第3回 デジタル信号処理」をスクラップして読み返す。難しい数式が出てきて手ごわい記事だ。理解できなくても良しとする。
用語解説

*1 Reed-Solomon符号
 符号語がガロア体GF (2r) の元より構成されるBCH符号である.Reed-Solomon符号はα をGF (2r) の原始元とした時,生成多項式が,
G(x)= (x-α) (x-α2) · · · ·  (x-αd-1)
 で与えられる符号長:n
n=2r-1
のGF (2r) 上の巡回符号である.
 情報記号数:nは,
k=n-d-1= 2r-d
となる.また生成多項式の根は,
α , α2 , · · · ·  αd-1
 であるので,最小距離は,dとなる.
 Reed-Solomon符号はGF (2r)  の元の誤りを訂正する符号であるが,GF (2r)  元をr次元2元ベクトルと考えれば,rビットのブロックの誤りを訂正する符号ということができる.一般にこうした符号をバイト誤り訂正符号という。

*2 最小距離(minimun distance)
符号 C= { x, x1, · · · · , xM }
のすべての異なる符号語の間のハミング距離の最小値を,その符号の最小距離といい,dminで表す.例えば,符号Cの最小距離が3であるとすると,Cの任意の符号語xiについて,xiとの間のハミング距離が1か2になる符号語はCの中には存在しないことになる.
 この最小距離は,符号の誤り訂正能力を表す重要なパラメータである。

*3 ガロア体(Galois Field)または有限体(Finite Field)
 ガロア体または有限体とは,元の数が有限で,加減乗除の四則演算が可能な集合である.実用上,重要なガロア体は,元の数が 2m (mは正整数)となるガロア体であり, GF(2m) と表記される.ガロア拡大体を使いガロア体の基本演算法の例を上げる.元の数が最も少ないガロア体はGF(2)であり,{0,1}より構成され,加算,乗算は次のように定義される.
+  0  1      0  1
0  0  1     0  0  0
1  1  0     1  0  1
<加算>     <乗算>
 多項式:  x2+x+1=0 の根は,GF(2)にはない.そこで,この多項式の根をαとして,そのべきを作る.
 α0=1  α1=α  α2=1+α( α2+α+1=0による )  α3=α+α2=1=α0  α4=α  α5=1+α=α2  ⋮  
上記において,αのべきで異なるものは、
1, α, α2
 の3つしかなく,0元を加えた { 0, 1, α, α2} がGF (22) になる。GF (22) の加算および乗算は次のように定義される.
+  0  1  α  α2      0  1  α  α2
0  0  1  α  α2     0  0  0  0  0
1  1  0  α2  α     1  0  1  α  α2
α  α  α2  0  1     α  0  α  α2  1
α2  α2  α  1  0     α2  0  α2  1  α
 加算,乗算に対して,結果はすべてGF(22)の元で表される.上記のように拡大体を生成する時の多項式を原始多項式といい,その根:α(原始元)と0によりガロア体:GF(2m)をすべてべき表現できる.べき表現を用いると乗算は,
αi·αj= α ( i+j ) mod 2 m-1
 と表記できる.
 また,原始多項式:G(x)に対し,G(α)=0であるため,GF(2m)の任意の元:αiは,
αi= a0+ a1α+ · · · ·  + a m-1 α m-1
 と表記できる.ただし,a0am-1はGF(2)の元である.ここで,GF(2m)の任意の元を
( a0,  a1,  · · · ·  , am-1 )
と表記すれば,これをGF(2)上のm次元ベクトルと考えてGF(2m)の任意の元の加算はGF(2)上のm次元ベクトルの加算となる.

*4 シンドローム(Syndrome)
 線形符号の復号に使用されるベクトルである.受信語Yが受信された時,パリティ検査行列Hと受信語Yの転置との積
S = H YT
 で定義されるm次元ベクトルをシンドロームという.符号語Xを送信し,誤りパターンeが発生した時,符号語Xに対しては,HX=0が成立するから,シンドロームは
S = H YT = H ( X + e ) T = H e T
 となる。
 つまり,シンドロームは,誤りパターンの形を反映しているものである。誤り訂正においては,まずシンドロームを計算し、誤りの有無を調べ、しかる後にシンドロームを用いて誤り訂正する.

今ではこういった専門用語ググれば済むが、35年前はそうはいかずこのような記事が極めて貴重であった。どこそこにこういった記事があったという記憶が大切な時代でもあった。
今は時間を掛けずとも必要な知識がすぐ手に入るが、そういった時間短縮による効果をどう有効に使っているのだろうか。
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Reed-Solomon符号の符号化と復号法 特集CD-ROM(6)(月刊ASCII 1986年6月号11) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事「CD-ROM 徹底研究 CD-ROMのすべて 第3回 デジタル信号処理」をスクラップして読み返す。難しい数式が出てきて手ごわい記事だ。理解できなくても良しとする。
Reed-Solomon符号の符号化と復号法
 CIRCは、最小距離*2 5のReed-Solomon符号*12系列(C1,C2)で構成される.
 Reed-Solomon符号の符号化と復号法は次のように行う。ただし,演算はGF(28)で定義されており α8 + α4 + α3 + α2 + 1 = 0 かつすべての計算はGF(28)の有限体演算*3である.
{ p+ q+ r+ s= i=4 n-1 W i α3p+ α2q+ 2r+ s= i=4 n-1 αi W i α6p+ α4q+ α2r+ s= i=4 n-1 α2i W i α9p+ α6q+ α3r+ s= i=4 n-1 α3i W i
となり,この4元連立方程式を解くと,p,q,r,sが求まる.
[ p q r s ] = [ α212 α153 α152 α209 α156 α2 α135 α152 α158 α138 α2 α153 α218 α158 α156 α212 ] [ i=4 n-1 W i i=4 n-1 W i i=4 n-1 W i i=4 n-1 W i ]
ただし ( C1 · · · ·  n=32 C2 · · · ·  n=28
このようにパリティを作ると当然次式が成立する。
i=0 n-1 W i = i=0 n-1 αi W i = i=0 n-1 α2i W i = i=0 n-1 α3i W i =0
復号は次のように行う.まずシンドローム*4を生成する。
S0 = i=0 n-1 W i ^ S1 = i=0 n-1 αi W i ^ S2 = i=0 n-1 α2i W i ^ S3 = i=0 n-1 α3i W i ^
ここで, C1 · · · ·  n=32 , C2 · · · ·  n=28 , W i ^ :受信データで2シンボルエラーを想定すると,シンドロームは次のよう になる.ただし,2シンボルエラーをei,ej,とする.
S0 = ei + ej S1 = αi ei + αj ej S2 = α2i ei + α2j ej S3 = α3i ei + α3j ej
C1の時 0i , j31 C2の時 0i , j27
上式より,
αi S0 + S1 = ( αi + αj ) ej αi S1 + S2 = αj ( αi + αj ) ej αi S2 + S3 = α2j ( αi + αj ) ej
∴  ( αi S0 + S1 ) ( αi S2 + S3 ) = ( αi S1 + S2 ) 2
展開すると次のようなエラーロケーション方程式が得られる.
( S0 S2 + S1 2 ) α 2i + ( S1 S2 + S0 S3 ) α i + ( S1 S2 + S2 2 ) =0
ここで
S0 S2 + S1 2 = A S1 S2 + S0 S3 = B S1 S3 + S2 2 = C
とおくと,次のような方法により2シンボルエラー訂正ができる.まず,エラーの大きさを判定する.
(i) n0エラー
S0=0 , S3=0 , A=B=C=0
(ii) 1シンボルエラー
S0≠0 , S3≠0 , A=B=C=0
(iii) 2シンボルエラー
A≠0, B≠0, C=0
訂正手続きは次のように行う.
(i) 1シンボルエラーエラー訂正
αi = S1 S0 , ei = S0
ここで, i=logαi , αi = log -1i と表すと,1シンボルエラーのロケーション: i は,
αi = S1 S0 より , i= log ( S1 S0 )
エラーデータeiは,
ei=S0
訂正は,
W i ^ = W i ^ + S0
とすればよい。

(ii) 2シンボルエラー訂正
この時のエラーロケーション方程式は,
A α 2k + B α k + C =0
ここで,B/A=D,C/A=Eとおくと,
D = α i + α j , E = α i · α j (ロケーション i, j
であり,
α 2k + D α k + E =0
 すなわち αi , αj は2次方式の根になっている.
 今, j=i+a j>ia>0 とすると、
D = α i ( 1 + α a ) , E = α 2 i + a
この時,
D2 E = ( 1+ α a ) 2 · α 2i ( α a · α 2 i ) = α -a + α a
となる。そこで,
X=1+ αa
とすると,8 in 8 outのPLAで“ D2 E X ( a=231 ) "を構成できる.さらに,
Y= D2 E + X= 1+ α-a
とおくと,
αi = DX , αj = DY
i=log ( DX ) , j=log ( DY )
よって,エラーデータ, ei , ej
ei = ( αj S0 + S1 ) D = S0 Y + S1 D
ej = ( αi S0 + S1 ) D = S0 X + S1 D
訂正は,
W i = W i ^ + ei , W j = W j ^ + ej
とすればよい.
 以上は、2シンボルエラー訂正の方法であるが,CIRCに使言われているReed-Solomon符号は、最小距離が5の符号であるから,エラーロケーションが分かれば4シンボルまで訂正できる.
 今,エラーロケーションを,
i,j,k,l
とすると
S0 = ei + ej + ek + el S1 = αi ei + αj ej + αk ek + αl el S2 = α2i ei + α2j ej + α2k ek + α2l el S3 = α3i ei + α3j ej + α3j ek + α3j el
上式を変形すると,
ei = S0 + ( α-j + α-k + α-l ) S1 + ( α-j-k + α-k-l + α-l-j ) S2 + α-j-k-l S3 ( 1 + αi-j ) ( 1 + αi-k ) ( 1 + αi-l )
ej = S0 + ( α-k + α-l + α-i ) S1 + ( α-k-l + α-l-i + α-i-k ) S2 + α-k-l-i S3 ( 1 + αj-i ) ( 1 + αj-k ) ( 1 + αj-l )
ek = S0 + ( α-l + α-i + α-j ) S1 + ( α-l-i + α-i-j + α-j-l ) S2 + α-l-i-j S3 ( 1 + αk-i ) ( 1 + αk-j ) ( 1 + αk-l )
el = S0 + ( α-i + α-j + α-k ) S1 + ( α-i-j + α-j-k + α-k-i ) S2 + α-i-j-k S3 ( 1 + αl-i ) ( 1 + αl-i ) ( 1 + αl-k )
となり、エラーデータが求められるから、訂正は,
{ W i = W i ^ + ei W j = W j ^ + ej W k = W k ^ + ek W l = W l ^ + el
とすればよい

数学は苦手で工学方面への進めなかった。このような数式で物事を考えることができる人たちを尊敬している。よく聞く学校での勉強は役に立たないという言はできない者の悔し紛れの捨て台詞だと思っている。
理解できなくとも数式が美しいということは感じられる。
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CIRCの復号法と訂正,補正確立 特集CD-ROM(5)(月刊ASCII 1986年6月号10) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事「CD-ROM 徹底研究 CD-ROMのすべて 第3回 デジタル信号処理」をスクラップして読み返す。難しい数式が出てきて手ごわい記事だ。理解できないのは分かっているがスクラップせずにはいられない。
CIRCの復号法と訂正,補正確立
 CIRCの復号法は,C1,C2の復号でどれだけの能力を持たせるかによって種々の方法が考えられる.その中で,C1,C2ともに2重誤り訂正を行い,C2においてC1のポインタ情報を有効に使用する方法をスーパーストラテジーといい,信頼性の高い復号法として知られている.
 図9にスーパーストラテジーのC1,C2復号法を示す.基本的な考え方は次のとおりである.

ASCII1986(06)c09CD-ROM_図09W829.jpg
 ○1重エラーのみ無条件で訂正する
 ○2重エラーの時には基本的にミス訂正の可能性があるものとして対処する

・C1系列:2重エラー訂正を行い,シンボルはすべて誤りありのフラグを立てる
・C2系列:C2系列から見たエラーの大きさをいつもチェックし,かつC1のシンボル単位のフラグをチェックする
 エラー訂正,検出能力の評価は次のようにして行う.ただし,エラーは各シンボル単位で完全ランダムに発生するものとする.また計算上,エラーレートが比較的良い状態であると仮定する.復号法はCIRCスーパーストラテジーであり,C1,C2とも2重誤り訂正を行う。
 (1)訂正能力
 あるシンボルが訂正不能になる場合を調べ,その確率を計算すれば簡易訂正不能確率が計算される.ここで,
Psi:訂正不能確率
Sc1,Sc2:C1,C2系列でのシンドロームによるエラーの大きさ
Nc1:C2複合器で受信したC1ポインタの数
 スーパーストラテジーにおいて訂正不能になるケースは2種類ある。
ASCII1986(06)c07CD-ROM_数式図(i)Psi(1)_W220.jpg (i) Psi
注目シンボルは1種であり
S c1 ≧ "3", S c1 ≧ "3"

 すなわち,C1系列でみて3シンボル以上のエラーで訂正不能であり,C2系列でみても3シンボル以上のエラーで訂正不能の場合である.この時,

Ps1 (1) C 2 27 × ( C 2 31 ) 3 · Ps 9 3.53× 10 10 · P s 9

 すなわち,C1系列でみて3シンボル以上のエラーの場合と,2シンボルエラーの場合があり,C2系列では2シンボルエラー(3シンボル以上のエラーは(i)に含まれる)だが,ポインタが5以上立っていて訂正不能の場合である。
ASCII1986(06)c08CD-ROM_数式図(ii)P_W136.jpg (ii) P
注目シンボルは2種あり
S c1 ≧ "3" or = "2"
S c2 = "2", N c1 5
 すなわち,C1系列でみて3シンボル以上のエラーの場合と,2シンボルエラーの場合があり,C2系列では2シンボルエラー(3シンボル以上のエラーは(i)に含まれる)だが,ポインタが5以上立っていて訂正不能の場合である。
Ps1 (2) ( 27× C 3 26 + C 2 27 × C 2 25 ) × ( C 2 31 ) 2 × ( C 2 32 ) 3 × Ps 12 4.63× 1018 · Ps 12
 よって,
Psi Psi (1) + Psi (2) 3.53× 1010 · Ps 9 + 4.63× 1018 · Ps 12
(2)検出能力
 Reed-Solomon符号*1が検出ミス(見逃し,誤訂正など)する場合は,最小距離*2 5であるから次のようなケースである.
 ○3シンボルエラーを2シンボルエラーと見誤る
 ○4シンボルエラーを1シンボルエラーと見誤る
 ○5シンボルエラーをエラーなしと見誤る
 例として,どういう場合に4シンボルエラーを1シンボルエラ--と見誤るかを考察してみよう.
 今,4シンボルエラー(ea,eb,ec,ed)を1シンボルエラー(ei)とみなす時,
S0 = ( α0 ) a e a + ( α0 ) b e b + ( α0 ) c e c + ( α0 ) d e d = ( α0 ) i e i
S1 = ( α1 ) a e a + ( α1 ) b e b + ( α1 ) c e c + ( α1 ) d e d = ( α1 ) i e i
S2 = ( α2 ) a e a + ( α2 ) b e b + ( α2 ) c e c + ( α2 ) d e d = ( α2 ) i e i
S3 = ( α3 ) a e a + ( α3 ) b e b + ( α3 ) c e c + ( α3 ) d e d = ( α3 ) i e i

 この連立方程式から次の関係が導かれる.
eb = ( αi + αa ) ( αa + αc ) ( αa + αd ) ( αi + αb ) ( αb + αc ) ( αb + αd ) · α l ( a-b ) · ea = αx · ea
ec = ( αi + αa ) ( αa + αb ) ( αa + αd ) ( αi + αc ) ( αc + αb ) ( αc + αd ) · α l ( a-c ) · ea = αy · ea
ed = ( αi + αa ) ( αa + αb ) ( αa + αc ) ( αi + αd ) ( αd + αb ) ( αd + αc ) · α l ( a-d ) · ea = αz · ea
ただしx,y,zはa,b,c,d,iにより決定
 a,b,c,d,iの位置を決めると,eb,ec,edはeaにより決定される.すなわち,検出ミスが出るのは任意のea(=0)が与えられた時,eb,ec,edが,それぞれa0~a254のうち1通りしかない.従って、a,b,c,d,iの位置を決めた時,4シンボルエラー(ea,eb,ec,ed)を1シンボルエラー(ei)と見誤る確率は,
約1/2553  である.
 同様に,3シンボルエラーを2シンボルエラーと見誤る確率は
約1/2552
 である。
 さらに,5シンボルエラーが発生した時,それをエラーなしと見誤る確率は,
約1/2554
 である.
 CIRCの種々のデコード法において,検出ミスとなるのは次・のとおりである.
 ○Ciで検出ミスし,C2で訂正あるいは検出できない
 ○C2で検出ミスをする
 ○C1,C2デコードともに検出ミスは4シンボルエラーを1シンボルエラーと見なす場合が圧倒的に多い
 以上のもとに,検出ミスの確率を考察しよう.ここで
Psu : 検出ミス確率 Psu (1) : C1で検出ミスし,C2で訂正あるいは検出できない確率 Psu (2) : C2で検出ミスする確率
とすると,Psu(1)が2種類考えられる.
Psu (1) ―――― N c1 3 (内,エラー2) Psu (1') ―――― N c1 4 (内,エラー1)
ともにC1で検出ミスしたシンボルのみがエラーとなる.
(i) Psu(1)
Psu (1) C 2 27 × 25 × ( C 2 31 ) 2 × C 2 32 × ( C 4 31 + 31 × C 3 30 ) Ps 12 × 255-3 8.93× 109 · Ps 12 ASCII1986(06)c08CD-ROM_数式図(i)Psu(1)_W150.jpg
(ii) Psu(1')
Psu (1') 27 × C 3 26 × C 2 31 × ( C 2 32 ) 3 × ( C 4 31 + 31 × C 3 30 ) Ps 13 × 255-3 3.78× 1013 · Ps 13
ASCII1986(06)c08CD-ROM_数式図(ii)Psu(1')_W150.jpg

(iii) Psu(2)
Psu (2) ( C 4 27 + 27 × C 3 26 ) × ( C 2 31 ) 4 × Ps 12 × 255-3 2.47× 108 · Ps 12
 よって,検出ミス確率は,
Psu = (i)+(ii)+(iii) = Psu (1) + Psu (1') + Psu (2) = 9.18 × 109 · Ps 12 + 3.78 × 1013 · Ps 13
 そこで,1ワードは2シンボルであるから,ワード補間確率をPwi,ワード検出ミス確率をPwuとすると,
Psi  ,  Psu  ≪  1
では,
Pwi = 2 Psi
Pwu = 2 Psu
 となり,これを図示すると図10のようになる.

ASCII1986(06)c10CD-ROM_図10W520.jpg
 横軸に示された光ディスクのもともとのデータが,CIRCによって,縦軸に示されるデータ品質に高められるわけである.結果的に,かなり劣悪なディスクであっても,CIRCによってほとんど完全なデータに訂正される。
 図中、ミドルコレクションストラテジーは,C1で単一誤り訂正,C2で2消失訂正を行うものであり,シングルコレクションストラテジーはC1,C2ともに単一誤り訂正を行うものである.

この連載は、「マイクロコンピュータ総合誌」と銘打っている月刊アスキーでは自分にとってかなり浮いている記事だった。こうして35年後にやっと読んでいる位だ。理解できなくともスクラップする面白さがある。
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エラー訂正符号(CIRC) 特集CD-ROM(4)(月刊ASCII 1986年6月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事「CD-ROM 徹底研究 CD-ROMのすべて 第3回 デジタル信号処理」をスクラップして読み返す。難しい数式が出てきて手ごわい記事だ。理解できなくても良しとする。
エラー訂正符号(CIRC)
 CD方式プレーヤの場合,既に述べたように光ディスクから,光ピックアップ,光サーボ,CLVサーボ,PLL回路,EFM変調を通して信号を読み出すわけであるが,ディスク製作上および信号トレースの過程で種々の信号の劣化を生起する.CD方式の場合に生ずる信号劣化の要因としては,次のようなものがある.
 ①ディスクに最初からある欠陥,すなわちディスク製造時に生じた欠陥
 ・カッティングからディスク成形に至る過程で混入付着したゴミや傷
 ・ディスクのピットの成形不良,成形時の泡の混入
 ・アルミ反射膜の不良
 ・透明なディスクの屈折率の不均一性
 ②取り扱い中に生じた媒体の欠陥
 ・使用中についた指紋,傷、ほこり
 ③再生メカニズムの変動や乱れ
 ・サーボの乱れ(トラッキング,フォーカシング,回転制御など各サーボの安定性が悪いと符号誤りが増加する)
 ④ジッター
 ・再生波形の時間的ゆらぎ
 ⑤符号間干渉
 一般に①~③はバースト誤りとなり,④⑤はランダム誤りとなる.そこで,これらのバースト誤り,ランダム誤りを効率よく検出・訂正する誤り訂正方式が必要となる.CIRCは、このような種々の誤りを検出・訂正するために開発された符号である.
 CIRCの基本的な考え方は次のとおりである.
 ○長いインターリーブにより長大なバースト誤りに対処する
 ○2重符号化方式をとり検出・訂正能力を高める
 ○2重符号化に用いる各符号としては強力な検出訂正能力を持つ符号を使用する
 ○インターリービングは音楽信号に対して最適化する
 ○復号後の誤り率は将来の応用(コード・データ,記録再生など)に対して十分な可能性を持つ
 図7にCIRCの符号器/復号器を示す。図中○印がインターリーブ長(インターリーブのための遅延)を示す.また,L,Rは左右ステレオ音楽信号(16ビット)を示し,Wは音楽信号の上位,下位バイト(8ビット)を示す.

ASCII1986(06)c06CD-ROM_図07W819.jpg
 C1,C2は,それぞれGF(22)上の(32,28),(28,24)のReed-Solomon符号である*1.C1により,ランダム誤りを訂正し,C2でC1で訂正できなかったランダム誤りとバースト誤りを訂正する.C1,C2の最小距離*2は5であるので,消失のない時は2シンボルの誤り,消失のある時は4シンボルまでの消失訂正が可能である.
 また,C2復号時にはC1復号時に得られるポインタ情報(シンボルの信頼性の良否)を使うことができる.図8にCIRCの訂正能力とC1,C2のシンボルの配置を示す.ここでインターリービングを音楽信号に最適化するために,次のような基本的操作を行っている。

ASCII1986(06)c07CD-ROM_図08W1012.jpg
 ○シンボル(8ビット)誤りがワード(16ビット)誤りに波及しないように1フレーム遅延を行う
 ○補間長を長くするため,パリティは信号系列の中央に位置させる
 ○補間長を長くするため、音楽信号の偶数項と奇数項を分離配置する
 こうした操作によって,光ディスク上で約1.5mmのバーストエラーが発生しても完全に訂正され元のデータに復元される.

CDにはエラー訂正機能があった。35年前はあまり関心が無くどんなものかは全く理解していなかった。ASCIIにこうした解説記事があったが、見ただけで読みもしなかった。新しい製品を作るときにはこうして考えられる限りの事態を想定して対策を講じる。技術者の鑑とは彼らのことだと思う。
翻って安易に「想定外でした」という者たちに問いたい気分だ。想定していなかったということで、反省の色が見えない。なぜ想定しなかったのか。今後はどうすれば想定できるようになるのか。どう努力するのか。そういった対策を答えず「想定外」として責任逃れをしているようにみえ、不愉快な気持ちになる。正直に言えばいいんだ。「(想定はしていたけど)経済を優先しました。事故ったときのリスクより目先の利益を優先しました。今回は、アンラッキーでした。」
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