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パソコン雑誌を捨てる(月刊 ASCII 1983年7月号2)編集長 [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

【月刊 ASCII 1983. 7 FROM THE EDITORIAL OFFICE】


FROM THE EDITORIAL OFFICEの宮崎編集長のコラム別に毎月引用するつもりはないけれどこうして連続引用になった。今回はMSX規格パソコンについて。まずは引用する。
ホームコンピュータ標準化への動き
 オーディオやビデオの機材には,一つではないにせよ規格があり,互換性が存在している.そのためレコードやカセットテープなどのソフトウェアはメーカーを気にせずに選ぶ事ができるのだ。この互換性を失するとたいへん不便になるのは,VHSとベータマックス,レーザーディスクとVHDなどの例に明らかだろう.
 コンピュータは,本来ソフトウェア資産の保護・利用の立場から,互換性を重視するのが普通であったが,パーソナルコンピュータの分野ではないがしろに扱われてきた.これは日進月歩の技術革新の成果をリアルタイムで自社のシステムに取り入れ,他の製品に対し優位を保とうとせんがために起きた、スペニック競争の弊害とも言うべき現象で,互換性の必要性が叫ばれつつも実現は困難とみられていた。
 そのためパーソナルコンピュータのソフトウェアは機種ごとに違い,作る側,売る側,使う側の誰にとっても良くない結果を招いている。
 一枚のレコードはテクニクスであれローディーであれ聞くことができるのに、一本のソフトが特定のメーカーのシステムでしか実行できないというのは、素朴に考えるとたいへん異様な事といえよう.  ところが,今,こういった状況を打開すべく,ひとつの大きな動きが起こりつつある.それは、マイクロソフトとアスキーがホームコンピュータの標準規格を提案し,その呼び掛けに国内の主要なコンピュータ,家電メーカーのほとんどが呼応しつつあることだ.
 その名はMSX,規格の詳細については明らかになり次第お伝えできると思うが,概要は次のようなものである.
○低価格でゲームや軽いアプリケーションを対象の中心とする.
○この規格に合致するコンピュータはすべて・同一のソフトを実行できるものとする.
○基本構成はZ-80をCPUとし,CRTCに9918A,サウンドにPSG(8910)を使ったもの
○高度なプログラミングを可能とするため,32KのMicrosoftBASICを採用.
○カートリッジ形式のROMパックや周辺装置が付けられるようになっている.
 しかも,自由のきかない固定された規格というわけではなく,ハードウェア,基本ソフトウェア共に設計に工夫を凝らし,高度で柔軟な拡張性を持ち、なおかつ拡張後の互換性も維持できるよう配慮されているという.
 このMSX規格の狙いは,基本システムのみでゲームやプログラムづくりが楽しめるうえに,多種多様なホームアプリケーションやビジネスまで発展可能なものを作るところにある.そのために参加各社の独自の付加装置や特殊機能をも互換可能な範囲に包含しうる仕様を設定したのであろう.
 また,柔軟性を持たせることにより製品のライフタイムを,例えばAppleIIなみに伸長させようという考えもあるだろう.
 ともかく,例えばVHSマークの付いたビデオテープがVHSタイプのデッキにかかるように,MSXマークのソフトは同じマークのコンピュータならメーカーを選ばずに使える,という点が最大のポイントである.

 パーソナルコンピュータを今日見られるほど普及させた要因の一つに、ビル・ゲイツの提案した「BASICインタプリタを導入してパーソナルユースに適したコンピュータを作る」という概念がある.この概念と,MicrosoftBASICそのものを各メーカーが採用したことにより一般化を導けたのだ。
 今回の企画は、ホームコンピュータに広く一般に普及させ,ソフトウェアのと流通のネックを解消するためのキーとなるものであり,BASICに続く大いなるチャレンジである。
 日本では、とかく標準化の必要性は認識しつつもメーカー間の足並がなかなか揃わず,結局分裂したままになるケースが多い。しかしMSXでは,これまですでにオピニオン・リーダー的役割を果たしてきたマイクロソフトという絶好の仲人役を得て,このような大同団結が成し遂げられたと考えられる.
 また,米国に先駆けて日本で標準規格がホームコンピュータにおいて実現されることも注目に値する。
 読者諸兄姉におかれては,この一大ムーブメントに暖かい御支援をたまわらんことをお願いする次第である.
宮崎 秀規

36年後の後出しジャンケンだから言えるが、残念ながらMSXは成功しなかった。PC-9801が登場している時点で8ビット機を標準パソコンにしようとしていることが間違えている。日進月歩どころか秒針分歩と言われていたパソコンで古いハードで発売しても製品寿命は短い。
知人からMSXパソコンの相談を受けたとき、使用目的はゲームとワープロだったのでゲームをするならファミコンを買ってワープロを使うのなら専用機を買うべきでパソコンは必要ないとアドバイスした。MSXパソコンの性能ではゲームしかできないし、ゲームにしてもファミコンの素晴らしいゲームやNEC PC-8801シリーズの綺麗な画像を使ったゲームにかなわない。
ソフトウェアの規格統一はWindowsが出るまでできなかった。それでもAppleがあるので完全統一はできていない。
 尊敬する宮崎編集長でもそこまでは見通せなかった。

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コメント 2

ef8012

資源ごみになんて勿体ないです。
この頃のパソコン雑誌は希少価値があって、
最近はこの手の雑誌を探しても無くて結構大変なのですよ。
ぜひ古本屋とかネットで個人売買とかしてあげて下さい。
by ef8012 (2019-10-30 20:31) 

coo

コメントありがとうございます。
すみません、デジタルスクラップということで記事をスキャンするのに本をバラシてしまいました。
こうして最後に再読してスクラップすることが供養だと思っています。
by coo (2019-11-01 06:45) 

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