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パソコン雑誌を捨てる(月刊 ASCII 1983年6月号6)バブコム80 [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

【月刊 ASCII 1983. 6】システムズフォーミュレート倒産


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巻末に「パーソナル アイランド」という記事があり、6号には「システムズ・フォーミュレート倒産を悼む」という記事があった。
以下、引用する。
 4月6日,パーソナルコンピュータ販売の老舗,(株システムズ・フォーミュレートが倒産した.パーソナルコンピュータの販売に於ける昨今の値引き競争に追いつかず,約8億円という負債を抱えて、ついに東京地裁より破産決定が下ったものである.
同社はパーソナルコンピュータの販売会社として草分け的存在であり,社長の渡辺氏は東洋工業時代に広島カープの「王シフト」の考案や,富士通でのFACOM230-10の開発などで有名な人物で,同氏のSFC設立は,サラリーマンが仕事のカラを脱け出る「スピンアウト」の典型として話題を呼んだものである。
 倒産の原因は富士通のOEMによるBUBCOM80の販売不振,大幅な値引き販売に対抗するために生じた利益率の低下,簡易言語の普及でBASIC離れがおきたために講習会の維持が難しくなったこと,などが指摘されているが,最近の異常な「ブーム」のもたらした余波の一つであると見ることができる.
 「しかしながら,我々アスキー編集部にとっては,SFCの退場は単なるドラマの場面転換と言うにはあまりにも身近な悲劇に感じられる.何といってもパーソナルコンピュータの歴史の始まりから,その流れを共に歩んできた「仲間」という意識があるからである.このパーソナルアイランドにもBUBCOM80の話題が何回か登場したように,SFCのコンセプトが,パーソナルコンピュータのビジネスへの利用において,我々の共感を呼ぶものがあったからだと思える.ここで,SFC退場への手向けとして,その戦略の是非を論じてみよう。
1 最初のターゲットマシンにPETを選んだこと.
 6年前にSFC社が創設された時には,パーソナルコンピュータとしては, PET, APPLEII, TRS-80という米国製コンピュータしかなかった.その中で,ビジネスに利用可能な十分な演算精度を備えていたのはPETだけだったのが,この選択の理由だっ たのであろうが,ビジネス処理に必要なプリンタやフロッピーディスク装置の供給は,PETが一番後手に廻ってしまった.SFCはその間,周辺機器の手当に相当振り回されたのである.
2 自社ブランドのハードウェアに進出したこと.
 2年前にSFCが富士通に生産を委詫したパーソナルコンピュータBUBCOM80を発表した時は確かにビジネス用に使い易い機種は存在しなかった(今でも同じようなものだが).8インチフロッピーディスクと漢字能力を備え,磁気バブルメモリを用意することにより,メモリをすべてRAM化するという構成は,我々が「通好み」と評したように,渡辺氏のセンスを遺憾なく発揮したものであった.しかしながらハードウェアビジネスはSFCの規模には厳し過ぎた.特に注目すべきは、市場の動きに対応して第二,第三の商品を作り出すことができるかどうかである.同じ頃に発表されたソード社のM23とBUBCOM80とを分解して比べたことがあったが,コストダウンという点でM23はBUBCOM80とは比較にならない程,良く検討されてい た.そして,市場は質の良さよりは、大量生産による低価格製品を求める傾向が強まっていたのである.当然,OEMで仕入価格の引き下げがしにくいSFCは不本意な対応を迫られたのである.
3 アプリケーションソフトの開発に有効な手を打てなかったこと.
 ビジネス向けパーソナルコンピュータの市場でのシェア獲得の有力な手段が,ソフトウェアの充実である.販売高が一位となり,自然にソフトウェアもサードパーティが競って開発したおかげで,充実してしまった日本電気のような幸運はSFCには巡ってこなかった.そこで自力でそれを行う必要に迫られたのである.SFC自身の開発力に問題のあったことは,我々のソフトウェアテストでも指摘した所だが,それを補うために採られたのがCP/Mの採用と他社のパッケージの導入であった.CP/MをDOSに用いることで利用できるソフトウェアの幅を広げようとすることは,ハードウェアメーカーの共通の戦略であったが,これまでの所,日本国内のビジネス用途には成功していない.CP/M用のビジネスソフトが皆無に近いからである.  以上のように考えるとSFCの採った戦略はその時々で決して誤った方策ではなかったと言えよう。問題はSFCの採った戦略をこなす力量に及ばなかったことと,日本のパーソナルコンピュータの市場が,SFCの思った方向に行かなかった点にある.
 こうしてみると,現在の過熱した市場に今後も生き残る者が,退場した者より優れて賢,者とは言えず,単に強運であったから,と後の人に言われぬよう我々は努力する必要があるように思えるのである.

あの、バブコムを作った会社だったとは。当時はあまり関心がなく記憶に残っていない。システムズ・フォーミュレートは広告が記憶に残っている。
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1980年代のパソコン環境の雰囲気が出ているので心に残っている。
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手前の男性のファッション、奥の女性のカメラ目線がいい。

さて、36年も前の倒産劇だが、36年後の後出しジャンケン的に教訓を語るとすると。
結論的にはマニア以外に売るためには素人にも使えるソフトウェアが必要。自社開発できなければサードパーティが開発に参加してくれなければならない。サードパーティは売れている機械用にしか作らない。となれば機械自体を売らねばならない。最初に買うのはマニアだろうから、最初はマニア受けする機械を作り、情報を公開し、雑誌に取り上げてもらう。友達のいない人は論外だが、普通は身の回りのマニアに「パソコン買いたいのだが、良い機種は何?」と相談する。マニアは、自分の好きな機械または、教えるのが面倒だから雑誌等に情報が多い機械を勧める。こうして最初に成功した1社が市場を独占する。これがPC-8801、PC-9801だった。
私はX1を買ったのだが、ソフトウエアが豊富だったから知人に勧めたのは9801だった。
でも「高いから、ちょっとなぁ」という人には、ワープロを使いたいならパソコンではなく専用機を買った方がいい。ゲームをするならファミコンを買えばよい。両方したければ両方買えばいい。無理にパソコンを買わなくてもいい。というようにアドバイスしていた。36年前は、マニア的な人以外にはパソコンは勧めていなかった。
これでこの号もスクラップ完了。資源ゴミへ。
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奏音

私の祖母はこの会社の経理をしていて、最後の精算完了まで破産管財人と共に仕事をしていたと良く私に話してくれました。
by 奏音 (2023-02-12 20:19) 

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