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37年後の後だしジャンケン03(パソコン界の黒歴史) [パソコン黒歴史]

YAMAHAの黒歴史03 パソコンシステムYIS (3)


YAMAHAがYISにどれだけ注力したか広告を追ってみる。
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●デジタル・エレクトロニクスのヤマハが生んだYIS (YAMAHA Integrated System:ワイズ)の各種製品は、全国のYISショップ及びYISコーナーで展示されています。噂のYISを真に知るにはご自分で実際に見て、触って、確かめて頂くのが一番です●自由自在で超高速なグラフィック機能や高速演算処 理能力、ユニークで豊富な拡張性などを大きな特徴とするYIS セントラルコンピュータPU-I-20シリーズを始め、ピアノ自動演奏システム・ピアノプレーヤなどの各種ハードウェア及びソフトウェアによるデモを行なっているほか、プレイコーナーにてご自分で存分にオペレートしてみることもできます。●また初心者のための無料講習会を実施しているほか、YIS BASICを中心としたYISスクールの生徒も募集中です●詳しくは最寄りのYIS ショップ及びYISコーナ ーにてお気軽にお問合せ下さい
宣伝には力を入れていたようだ。それでもダメだったから黒歴史なんだろう。

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8、9、10月号の広告は同じ。ネタ切れか?
●めざましい発展を続けるパーソナルコンピュータですが、原点に還って、人間とコンピュータ」という視点からみると果して本当に私たちにとって望まれるマン・マシーン・システムとして成長しているのだろうかという疑問があります。演算能力などの急速な進歩と比べると、グラフィック処理能力については、今ひとつ不満が残る、といったことが見受けられます。グラフィックによる視覚化は、私たちの理解を予想以上に深めたり、速めたりしてくれるものです。 ●そうしたことから、YISセントラルコンピュータPU-I-20は、グラフィック機能の強化ということを最大の開発ポイントの1つに あげています。その結果、①圧倒的に速い②操作が非常に簡単③抜群の美しさといった3点を、パーソナルコンピュータのレベルをはるかに超えて実現しました。●なぜ、速いのか?16ビットCPUによるインテリジェントグラフィックボードとハードウェアDDAボードという2種類のグラフィックボー ドを標準装備しているからです。まず、グラフィック関係の演算処理をすべて 16ビットCPU(Z8001)がインテリジェントで行なうことにより、これまで ホストCPUがグラフィック演算処理にかかっていた時間をそっくり分離でき、16ビットということもあって一層の高速演算処理が可能となっています。さらに、こうして処理された情報をヤマハオリジナルLSI(SITL型)によるVector Generater が高速描画します。これは、ハードウェア DDA(デジタル・ ディファレンシャル・アナライザ)方式を採用したもので、従来のホストCPUによるソフトウェア手法のDDA方式に比べ約100倍という圧倒的高速描画が可能になっています。(PU-I-10シリーズではCAP ボードを標準装備)●なぜ、操作が簡単か?強力なYIS BASICの下に、極めて簡略化されたGRAPH文があるからです。これは、ホストCPUからグラフィック演算専用CPUに、マクロ・コマンドを送るためのものです。これを使うと、上の写真のような拡大・縮小・回転・平行移動といった処理によるバリエーション も、上のような簡単な記号と数値を打鍵するだけで驚くほど超高速で実現されます。●なぜ、美しいのか?画像メモリは512×512×3プレーンを装備しており、高解像度グラフィック専用CRTが512×384ドットを、鮮明に表示します。しかも表示カラーは256色中任意の8色を各ドット毎に色指定可能なため、たとえば、美しくて精密なグラフィックアートの世界にも、いよいよ本格的に利用することができます。●ビジネス利用におけるグラフ化、科学技術計算や研究所レベルでの図形表示、教育部門でのわかりやすいグラフィック表示、ミュージックジャンルでの楽譜表示、といった分野への発展が自在です。
うん?なんだか、突然小難しい話をしている。ネタ切れした挙句こんな専門的な広告文句を載せたのか。それにつけてもZ8001をメインにもBASICインタプリタにも使えなかったのか?Z8001×2個というシステムを作らなかったのにはどんな理由があったのか未だに分からない。
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YISセントラルコンピュータPU-I-20は、グラフィック機能の強化を最大の開発ポイントの1つにあげています。その結果①圧倒的に速い②多機能で操作が簡単③抜群の美しさという3点を実現しました。●グラフィック関係の演算処理をすべて16ビットCPU(Z8001)がインテリジェントで行なうことで、これまでホストCPUがグラフィック演算処理にかかっていた時間を分離でき、16ビットということもあって一層の高速演算処理が可能になっています。さらに、こうして処理された情報をヤマハオリジナルLSI(SITL型)によるVector Generaterが高速描画します。これは、ハードウェアDDA(デジタル・ディファレンシャル・アナライザ)方式を採用したもので、従来のホストCPUによるソフトウェア手法DDA方式に比べ約100倍という圧倒的高速描画を可能にしました。 ●マクロコマンドには、コンソールコマンド(アスキーキャラクタ、常用漢字)、プリミティブベクターコマンド(点、直線、円、四角形、多角形etc)、座標変換コマンド(ウインドウ、ビューポート、拡大、縮小、回転、平行移動etc)、応答コマンド(ヒットディテクト、ライトバックetc)等を豊富に揃え、しかもホストCPUからグラフィック演算専用CPUへ、これらを送るために強力なYIS BASICのもとにGRAPH文を用意しています(GRAPH文は、PRINT文でディスプレイにキャラクタを出力するのと同形式で、グラフィックコマンドをグラフィックプロセッサに出力します)。これを使うと上の写真のような拡大・縮小・回転・平行 移動といった処理も、下に示された簡単な記号と数値を打鍵するだけで驚くほど超高速で実行します。 ●画像メモリは、512×512×3プレーンを装備し、高解像度グラフィック専用CRTが512×384ドットを鮮明に 表示します。しかも表示カラーは256色中任意の8色を各ドット毎に色指定でき、例えば美しく精密なグラフィ ックアートの世界にも本格的利用が可能です。●ビジネス利用におけるグラフ化、化学技術計算や研究所 レベルでの図形表示、教育部門でのわかり易いグラフィック表示、ミュージックジャンルでの楽譜表示、といった分野への発展が自在です。
11月号もハードウェアそれもグラフィックの紹介。プロのクリエータ等に向けての広告なのだろうか。もしかして、プロ用にはそこそこ台数が出たのだろうか?


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12月号と1月号は同じ
建築設計に携わる人にとって平面図・立面図を書いた時点でその建築物が完成したらどう見えるだろうかということは重大な関心事です。 これをコンピュータの3次元グラフィックスで実現しようという試みが近年盛んですが、何千万もするコンピュータでなければ不可能で、手軽に試してみるといった感じではありませんでした。ところが、これをパーソナルコンピュータ(YIS)で実現したメンバーがいるので御紹介します。 ●PU-I-20を使ってこの画期的なシステムを開発・発売したのは、大阪東区の「共同受信サービス株式会社(中川勝彦社長)」で、CATV用設備・コンピュータシステム開発をやっているユニークな会社です。1年程前ある建築設計事務所に、パソコンを使って設計のシミュレーションは 可能だろうかと相談を受けたのがスタートだとか。様々な機種を使いテストした結果、どの機種も時間がかかり過ぎ、実用的ではなかった。が、PU-1-20にシステムを乗せてみたところ、たとえば平面図を立体図に書き起す場合、従来のパソコンは6時間から8時間かかっていたが PU-I-20だと約20分で処理できるようになり、大幅な時間短縮に成功したそうです。なぜ、短縮できたのか? PU-1-20はグラフィック演算処理スピードとグラフィック描画スピードが抜群であり、また優れたグラフィックコマンドが豊富なため、新しいアルゴリズムにより陰線処理をスピーディに実行するからです。陰線とは、建物の見えない部分を指し、この処理を行なわなければ建築シミュレーションは不可能です。たとえば、写真⑤から写真⑥へアングルを変えた場合、当然陰線も変わってきます。この陰線部分の処理時間を従来に比べ大幅に短縮できたことで、写真⑤から写真⑥へアングルを変えてもスピーディに写真⑥をディスプレイできるわけです。●手順は? 建築用のシミュレーションをおこなうためには、まずデータの登録が必要です。(i)ユニット 登録:建築物を構成している各ユニットのデータ登録(ii)モデル登録:(i)で登録した各ユニットをどういう位置関係で組合せるのかを登録します(写真①②③)。(iii)現場ファイル登録:(ii)で登録した各モデルの現場での位置関係を示すための登録(写真④)。以上でデータの登録は終りです。このデー タ登録さえしておけば、自分の見たい視点(基準点からの距離・左右のオフセット・高さ・見る角度等)をインプットするだけでスピーディな 建築物シミュレーションができます。たとえば、設計に際して図面を起した時点でその建築物の任意の方向・高さからの完成予測外観をディスプレイでき、不都合な点があれば、すぐに修正・確認できる画期的なものです。(写真⑧⑨⑩)。もちろん表示している画面のハードコピーも綺麗にとれます(写真⑪⑫)。3次元グラフィックスを利用したこの建築シミュレーションシステムは、建築物の外観 だけでなく、さまざまなパース作成にも威力を発揮するシステムで、各方面への応用が期待されます。 ●PU-1-20●グラフィック関係の演算を全て1 ビットCPU(Z8001)がインテリジェントに行い、オリジナル LSI(SITL型)によるVector Generaterが高速描画します。●グラフィックコマンドを豊富に揃え、拡大・ 縮小・回転・平行移動といった処理も簡単です。●画像メモリは512×512×3プレーンを装備。高解像度CRTが512×384ドットを鮮明に表示し、しかも表示カラーは256色の中から任意の8色を各ドット毎に色指定 できます。
最後の広告はユーザレポートだが建築関係の業務用として使われていたということだった。YISの広告はこれが最後だが、営業は建築関係に力を入れたのだろうか。

37年も経てば、どうとも言える。後だしジャンケンにも程があると自戒しつつこれをアップする。

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37年後の後だしジャンケン02(パソコン界の黒歴史) [パソコン黒歴史]

YAMAHAの黒歴史02 パソコンシステムYIS(2)


YAMAHAがYISにどれだけ注力したか3月号以降の広告を追ってみる。

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1982年3月号の広告
左図は「こちらは、まだ、北海道の一部を描画中ですが…」。右図は「YISセントラルコンピュータは、日本全国描画完了!」
●コンピュータの場合、もちろん演算処理速度ということでは驚異的な速さですが、これまでの経験から言うと、演算処理した結果をディスプレイに描画完了するまでの時間がかかりすぎるというもどかしさをしばしば感じさせられてきたわけです。TVのスイッチオンスタートや即時点灯式の蛍光灯などの有難味に慣れてしまった私たちにとっては、簡単な図形はもちろん、複雑な図形だって見たい時にパッと画面に現れて欲しいものです。瞬時に計算し、そして、たちまち作画するコンピュータこそ、私たちにとって実用的ですし、精神的なイライラを解決するものです●描画能力のことで言えば、YISセントラルコンピュータPU-I-20シリーズでは、グラフィック専用の16ビットCPU(Z8001)によるインテリジェントグラフィックボード及びハードウェアDDA方式高速グラフィック(自社開発SITL形LSIによるVector Generater)を標準装備、CPUからのマクロコマンドで各種図形を描きます。美しく鮮やかな画像に加え、私たちの目がもどかしさを感じることのない充分なハイスピードで描画処理が可能です(PU-I10シリーズではCAPボードを標準装備)●強力なグラフィック機能により、読みやすく美しい漢字・カナ文字表示が可能(ソフトにて供給・別売)●DMAコントローラによりメモリー~フレックスメモリー間のデータ転送はCPUを介さずに可能●ディスプレイ部は512×384ドット表示、RGBセパレートリニアドライブ●価格PU-1-10シリーズ\1,048,000/PU-1-20シリーズ\1,287,000(価格はいずれもCPU+フレックスメモリードライブ、ディスプレイ、キーボード、プリンタ、ディスプレイ台枠を組合せた場合の合計価格です)
Z8001はグラフィックボード専用に積んであるのか。その性能は素晴らしいが、システム全体の価格が高すぎる。マイコンホビーストには手が出ない。ホビーストにとっては遅くても我慢できるし、逆に言えば高速化プログラムを作る楽しみがある。ゲームならば、高速なグラフィックスではなくPCGの採用により高速化を図った。

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システムのくみ上げ例がおしゃれ。他のパソコンとは違って事務機器の匂いがしない。

4月号はこれ
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●お見せしているのは漢字を高速で1~16倍まで拡大した原寸大の写真です。YIS(ワイズ・YAMAHA Integrated System)セントラルコンピュータPU-I-20では、こうした漢字表示も含めた強力なグラフィック機能を実現しています。そのため、16ビットCPU(Z8001)によるインテリジェントグラフィックボード及びハードウェアDDA方式グラフィックボード(自社開発SITL型LSIによるVector Generater)を標準装備し、ホストCPUからのマクロコマンドで16ビットCPUを働かせ、Vector Generaterに各種図形を高速で描かせています。また図形の拡大、縮小、回転なども自在です●この2種類のグラフィックボードによる多機能・高速描画能力の秘密は主に2つあります。第1の秘密はハードウェアDDA方式であること。通常のホストCPUによるソフト手法のDDA(デジタルディファレンシャルアナライザ)方式と比べ、ハードウェアDDA方式の速度は約100倍という圧倒的な速さですし、ホストCPUのユーザーズエリアも大幅に広がります。そうして第2の秘密はグラフィック関係の演算処理をすべて16ビットCPUがインテリジェントで行なうこと。つまりホストCPUがグラフィック演算にかかる時間がそっくり分離でき、16ビットということもあって、高速のDDAが可能になっています。このときホストCPUからグラフィック専用CPUに送られるマクロコマンドは、コンソールコマンド(アスキーキャラクタ、常用漢字 等)、プリミティブ・ベクター・コマンド(点、直線、円、多角形等)、座標変換コマ ンド(ウィンド、ビューポート、拡大、縮小、回転、平行移動等)、応答コマンド(ヒットディテクト、ライトバック等)といった非常に用途が豊富で使いやすいものとなっています●上の写真の漢字も、漢字をグラフィックとして扱ったもので、しかも、あまりに高速で描かれるため判別しにくいかも知れませんが、きちんと正しい書き順通りに描かれています(PU-I-10シリーズでは2種類のグラフィックボードの代りに強力なCAPボードを標準装備)●画面表示能力で言うと、RGBセパレートドライブ(リニア入力)で512×384ドット(ビデオメモリ512×512×3プレーン・96Kバイト)の画面の中で、256色中の任意の8色を各ドット毎に色指定可能です。画面文字はキャラクタジェネレータによる64字×24行表示●そうしてYISでは右図のようなトータルシステムを構成するための各種周辺機器群および各種インタフェース群、そして、YISの最大の特徴でもある実用的なアプリケーションソフト群も着着と用意されつつあり、本格的なホームコンピュータ時代の幕開けに向けてスタンバイしています●価格…PU-1-20シリーズ\1,287,000/PU-I-10シリーズ\1,048,000(価格はいずれもCPU+フレックスメモリードライブ、ディスプレイ、キーボード、プリンタ、ディスプレイ台枠を組合せた場合の合計価格です)●YISの全製品はYISショップにて展示されています。お気軽にご来店下さい。なお、YISショップでは初心者のための無料レッスンを実施しているほか、YIS BASICを中心としたYISスクールの生徒を募集中です。
繰り返しになるが、ホビーユース中心でビジネスユースが試され始めている時点でホームユース100万円越えの価格設定は、市場を見誤っているとしか思えない。マーケットのニーズを的確にとらえなければ成功しない。やはり、黒歴史だ。

5月号は、ヤマハと言えばこれでしょうという広告。
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●YISセントラルコンピュータPU-1-20シリーズでは、もし、その気なら、ピアノやシンセサイザ等の音楽演奏も、一種の情報としてコンピュータライズすることが可能です。写真は、ピアノプレーヤやミュージック・キーボードから送られてくる音楽情報(デジタル信号)を、コンピュータが楽譜に変えて、ディスプレイにリアルタイム表示したものです。音楽演奏の情報は、一般の情報と比べると、非常に複雑な要素で構成されており、単位時間当りの情報量が膨大な上、それらがハイスピードで次々と発生してきます●そのために、非常に高速な演算速度が要求されます。さらに、リアルタイムで自動採譜するとなれば、描画速度についても超高速が要求されてくるわけです●YISセントラルコンピュータPUI-20は、グラフィック専用に、16ビットCPU搭載インテリジェント・グラフィックボード及びハードウェアDDA方式Vectr Generaterボードを標準装備したことで、超高速で美しい描画能力を実現しています。しかも、図形の拡大、縮小、回転、移動等を行なうコマンドが用意されていることもあって、ディスプレイの五線紙上に音符を置いてゆく作業も、いとも簡単にこなします。また、送られてきた演奏情報そのものの処理は、高速仕様CPU(YM-2002・6502タイプ)およびAPU(高速演算用LSI)等により、瞬時に行なわれるため、まさにリアルタイムのミュージック・コンピュータとして働きます●ここでご紹介している自動採譜の応用として、逆に、コンピュータのキーボードやタッチペンで入力した音符をもとにして、ピアノやシンセサイザに自動演奏させることなどを可能にする「音符入力」も考えられます。そのためのソフトウェアとして、Music Language(音楽用言語)や、Music Play Editor機能、Music Display Editor機能といったものを用意しつつあります●もちろん、こうした自動採譜や音符入力を可能にするための前提には、音楽や楽器についての専門知識およびノウハウは不可欠ですが、これこそヤマハが最も得意な分野の1つであり、他のアプリケーション・ソフトウェアと同様に、内容の濃い、入念な仕上りになっています。なお、音楽記号のキャラクタ・パターンは、漢字やひらがな等とともに用意されています(フレックスメモリーにて供給)。ですから、YISセントラルコンピュータのハードコピー機能を利用して、日本語ワードプロセッサや楽譜のワードプロセッサといった活用法も可能になるわけです●ところで、こうしたミュージック・コンピュータの世界もさることながら、右図のように、YIS(Yamaha Integrated System・ワイズ)では、各種周辺機器と連動して使うという、無限の発展可能性を持っています。各種インタフェースボード類も豊富に用意し、そうした上で、YISでは、真のコンピュータ・ユーティリティを充分に考慮した、ホーム用およびビジネス用ソフトウェアも同時に開発してゆきます。面倒な仕事はすべてコンピュータに任せ、私たちは自由な時間と(コンピュータという)クリエイティブな道具を手に入れて、Live a joyful life!
全くYAMAHAらしい広告で先進的な取り組みをしていた。他メーカーが取り敢えずパソコンを作って売ろうに対してYAMAHAはパソコンを使っての生活「、Live a joyful life!」を売ろうとしていた。音楽業界とか一般ユーザの見えないところで必要経費として落とせる人達には売れていたのかもしれない。

6月号は、これ
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●多くの人々がコンピュータを仕事や家庭に導入してみて、真っ先に痛感するのは、画面表示が(利用者の過大な期待に比べると)意外に遅く、複雑な図形を用いるとなると、そのためのプログラミングにも相当手間がかかるといったことです。つまり、コンピュータの実用化には、まず万全なグラフィック機能が不可欠となります。YISセントラルコンピュータPU-I-20シリーズでは、2種類のグラフィック専用ボードを搭載したことなどで、グラフィック機能の特別な強化を実現しています●まず、グラフィック関係の演算処理は、全て16ビットCPU(Z8001)がインテリジェントで行ないます――これまで、ホストCPUがグラフィック演算にかかっていた時間をそっくり分離でき、16ビットということもあって、高速処理が 可能となります。このとき、ホストCPUからグラフィック演算専用CPUに送られるマクロ・コマンドには、コンソール・コマンド(アスキーキャラクタ、常用漢字等)、プリミティブ・ベクター・コマンド(点、直線、円、多角形等)、座標変換コマンド(ウィンド、ビューポート、拡大、縮小、回転、平行移動等)、応答コマンド(ヒットディテクト、ライトバック等)といった、非常に用途が豊富で、極めて簡略化されたものが用意されています。こうして演算処理された情報をもとに、自社開発SITL型LSIによるVectorGeneraterが高速描画を行ないます。これードウェアDDA(デジタル・ディファレンシャル・アナライザ)方式を採用したため、通常のホストCPUによるソフトウェア手法のDDAと比べ約100倍という圧倒的な描画速度を実現。上の写真のような複雑な図形も、アッと言う間に描画してしまいます。こうしたグラフィック機能を始めとするすべてを管理する基本ソフトウェアには、まず、充分な発展性が考慮された強力なYIS OSが独自に設計されています。その上で、BASIC、ミニアセンブラ、DDT等が用意され、また別売で、マクロアセンブラ、スクリーンエディタ等も利用できます。YIS BASICは、これ自体、シンプルで強力なものですが、さらにグラフィック関係のインテリジェント化によって、多機能でありながら、ユーザーズエリアが広く、しかも非常に高速です●高度なグラフィックをBASICで自由に操れること、また、「画面当り256色の中から任意の8色を選んで使えることなどを利用して、各種設計図、デザインパターンの応用ツールや、あるいはコンピュータ・アートといった新分野への発展も自在です
開発環境も用意されているし、もしかすると先進的な音楽業界人、デザイナー達は導入していたのかもしれない。
でも結局は売れてるところをみてないのだけれどもね。

37年も経てば、どうとも言える。後だしジャンケンにも程があると自戒しつつこれをアップする。

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37年後の後だしジャンケン01(パソコン界の黒歴史) [パソコン黒歴史]

YAMAHAの黒歴史パソコンシステムYIS


ASCII 1982年1月号から6月号を整理していたらYAMAHAのホームコンピュータの広告が目についた。毎月違う広告でYAMAHAの力の入れ具合が分かるというものだ。しかし、世間への影響はなかったのではないか?私は記憶がない。そういうことで私はYAMAHAのYISというホームコンピュータシステムを黒歴史認定する。
各月の宣伝文句を紹介すると1月号は01ASCII1982(01)YISw520.jpg
●YIS(ワイズ Yamaha Integrated System)はコンピュータを中心としたトータルシステムです。新しいコンピュータ時代の家庭やオフィスのベターライフに向けて、ヤマハは秀れたハードと良質のアプリケーションソフトを一体にオリジナル発送し供給してゆくとともに、各種インタフェースボード類によるビデオディスク(ヤマハ・アートビジョン・近日発売)やピアノ、シンセサイザといったものまで含め簡単に連動可能とし、コンピュータ制御による便利でクリエイティブな新しいライフスタイルを創造してゆきます。例えばピアノを弾くとコンピュータがリアルタイムで自動採譜するとか、夕食のおかずを適宜コンピュータと相談するといった全く新しい世界を、YISが現実化してゆくのです●人間とコンピュータの唯一の対話機能を果たすディスプレイ部の強力なグラフィック機能(16ビットCPU使用・インテリジェント)や日本人には欠かせない強力な漢字・ひらがな機能などをベースに、ミュージックコンピュータ(ピアノ、シンセサイザ等)、ホームコンピュータ(ホームマネジメント、娯楽、教養、安全管理等)、ビジネスコンピュータ(OA)といった各ライフジャンルに向けて、ヤマハはスタンバイしています
いやはや、時代を先取りしていたというか、否、先取りしそこなったというか、何とも残念。当時まだ16ビットパソコンのPC-9801は登場してなかった時代に先進過ぎたコンセプトのシステム。現在を知っているので「30年早いわ!」と突っ込みを入れたくなる。結局、私たちはYAMAHAによる「全く新しい世界」を見ることはできず、別の企業らによる「全く新しい世界」を見ることになった。

2月号の広告の宣伝文句を紹介すると01ASCII1982(02)YISw520.jpg
★去年の暮、12月7日にヤマハが発表したYIS(ワイズ・Yamaha Integrated System)の製品群がいよいよ発売になります。各種インタフェース類を充実させ、CPU を中心とした下図のような画期的ハードウェア体系での登場です。ハードウェアの充実はもちろん、YISの最大の特徴でもある良質のアプリケーション・ソフトウェ ア群も適宜開発し提供し、もっと具体的にコンピュータを私たちの生活の中に取り入れてゆくことを考えてゆくつもりです★もし、ミュージックコンピュータの世界に興味をお持ちなら、ピアノプレーヤ、ミュージックキーボードなどはいかがでしょう。ご家庭やお店のヤマハピアノをあっという間に精密なコンピュータコントロールで自動演奏ピアノに変身させることができ、移調、テンポ調整、音量調整もワンタッチです。カラオケにレッスン用にBGMに、ピアノを存分に活用しエンジョイ できます。或いはミュージックキーボードを接続して49鍵・FM方式の本格的シンセサイザ演奏および自動演奏を楽しむことだってできます。さらにピアノやミュージックキーボードを弾くとコンピュータが自動採譜して楽譜をプリントアウトしたり、逆に、コンピュータのキーボードから記号や数字で音符を入力するとひとりでに自動演奏が始まるといったことへの発展も含め、コンピュータの新しい在り方をお届けします★ホームコンピュータの世界では、やっぱりTVゲームあたりからが入りやすいところ。そのほか、編み物の目数計算や、アートビジョン及び料理番組ディスクと連動した料理指導など、コンピュータが奥様の強力な味方となります。また、防犯用アイカメラを利用した玄関機能システムなど、いよいよホームコンピュータ時代の幕開けです★そうしてヤマハでは、ヤマハ家具ショップやエレクトーン教室のオフィスオートメーションを手始めに、ビジネスコンピュータの分野へも準備をすすめ、体系化され たハードウェア&ソフトウェアのもとに、実用的なヒューマンコンピュータ時代を推進します。Live a joyful life!
うーむ。全くすごいではないか。今あるもの(相当品)は当時すでにYAMAHAにより提供されていたのだ。観念論とか空想ではなく実物が提供された。金さえあればこういった環境が37年前に手に入った。でも、歴史の闇に消えているのだからこれは黒歴史認定である。
しかし、なぜその後パソコンにYAMAHAの影がないのだろうか。コンセプトは良かったが時機が早すぎたということだろう。それにつけても疑問に思うことは、時期尚早と判断できた時点で、時機が来るまで待つということはできなかったのだろうか。開発した技術等を維持しておき、適当な時機に展開するということはできなかったのだろうか。してないところを見ると経営的にできなかったのだろう。いわゆる大人の事情というやつだ。YAMAHAがこの分野から消えたのはそういうことなのだろう。
2月号の広告には各ハードが紹介されている。皆見事に高額だ。
11PU-1-20w520.jpg11ASCII1982-02表1CPUw520.jpg注目すべきはセントラルプロセッシングユニットの PU-1-20だ。価格 810,000円もさることながらその構成でCPUはYM-2002(ヤマハ製6502拡張版CPU)。カラーグラフィックディスプレイボードはコントローラにZ-8001、ベクタージェネレータはヤマハオリジナルのLSIの点。ヤマハは当時自社でLSIを作ることができたとは。すごい製造技術を持っていたのだ。
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キーボードも高価格。
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ディスプレイも高価格
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まだフロッピーディスクとは言ってなかったんだ。
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YAMAHAだから当然の品ぞろえ。ピアノにPL-1というピアノプレーヤ・ドライブユニットを取り付け、PC-1でコントロールする。ピアノタッチをそのままに録音・再生・再生と同時に弾く連弾・キーやテンポを変えての演奏等が思いのままになる(なった)そうだ。
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このキーボードの他にミュージックボード155,000円が必要なのだが、どういうように使うのかよく分からない。
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プリンタも高い。
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玄関のカメラ。当時カメラ付きドアホンが用意されていたとは恐れ入る。また、暗証番号入力用のキーパッドが内蔵されている。37年前なのに凄い。ていうか、進歩してないな現在。おじいさんは悲しい。
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VHD方式のビデオディスク!そういえば、レーザーディスクは1981年(昭和56年)10月にパイオニアが製品化(LD-1000)していた。VHDの方がコンピュータで制御しやすかったのでヤマハはこれを採用したのだろう。
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風呂場がどう関係ある?湯沸かしをコントロールする?

さて、広告の他2月号の編集室の記事でかなり詳しく分かった。
ライフ・スタイルコンピュータの時代コンピュータメーカー,非コンピュータメ ーカー共に21世紀への存亡をかけてパーソナ ルコンピュータの開発競争を続けている.上位機種は今年中にすべて16bitマシンに埋め尽くされそうな兆しを見せている. パーソナルコンピュータも,コンピュータ・ウォーズの名の通り,ユーザーの選択を迷わすかのよう に多機多様に発表されている。
1982年2月号時点で見事な情勢分析というか情勢認識だ。流石ASCIIの編集長(以下同。これ以上は、褒め殺しにならないよう注意するつもり)
その中で今後のパーソナルコンピュータのあり方に一石を投じるのが,この度発表されたヤマハのYIS(ヤマハ・インテグレーテ ッド・システム)である。 これは, パーソナル用でもホーム用でもない.生活コンピュータを意識させるコンセプトを持った新しいシステムである.
一石を投じたのは確かだけど、影響はなかったように思う。たとえて言えば川に一石を投じたのだが、水面ではなく飛び出している石の上に当たってしまったようなものだ。
それは今迄パーソナルコンピュータ, ホームコンピュータの未来像として描かれていた ものを一気に具体化したものである.しかも, とりあえず本体だけを発表して周辺などは本体の売れ行きを見ながら揃えてゆく、といった従来の形式とは全く異なっている.
よく言えばそのとおり。率直言えば、作ってみましたというメーカーの技術力を示すためのマスターベーションのようなもの。技術力があればついやってしまいがちだと思う。
ヤマハとエレクトロニクスとの出会いは比較的古い, 昭和27年から電子楽器の調査活動を開始し,翌年には川上源一社長自ら欧米の電子楽器メーカーを視察し,楽器とエレクトロニクスの結び付きの将来性を確認したことに始まる.2年後には真空管を使った電子オルガン「EO-5」を試作するに至った.しかし,このEO-5は楽器として満足のゆくものではなかった.音を作るための素子として真空管を使っているため、思い切って回路の複雑化を行なおうとすると,楽器ではなく巨大なアナログコンピュータになってしまう.これでは楽器として扱うことができない、昭和31年ヤマハは迷わずトランジスタ式電子オルガンの開発に着手したのであった。ちなみ に当時トランジスタを生産していたのはソニーなどの専門メーカーのみであり,東芝などの総合電機メーカーがトランジスタ生産に踏み切るのは数年後であった.
ものすごく納得した。当時の自分は全く理解していなかった。多分、この記事を読んでいない。電子楽器が登場したときヤマハはトップランナーだったんだ。
ヤマハのエレクトロニクス化の推進役となったのは,今回のYISプロジェクトの総指 揮をとった持田康典専務であった. 持田専務は,昭和34年プロジェクトチーム 「持田研究室」を発足させ,以来一貫してヤマハのエレクトロニクス技術を切り開いて来た人である. 昭和47年には持田専務の計画どうり静岡県にあるヤマハ豊岡工場にてカスタムデザインによるLSIの本格的量産が始った。 なぜヤマハがLSIまでも作らねばならなかったのか,という問に対しては,半導体メーカーは当時標準ICを生産するだけで手一杯であり,ヤマハが求めている高品質の音を作り出せる専用ICを採算ベースで開発することは不可能だった,という答を得ることができる. このようにヤマハは楽器や家具を作るとき材料である原木から吟味するように,電子楽器の心臓部であるLSIを自社生産するようになった.コンピュータメーカー,電子機器 メーカーでもLSIを社内で生産しているケースはそれほど多くない。せいぜいLSIのデザインまでである.実際,マスク作成からウエハの拡散行程までを行っていれば立派な 半導体メーカーである.現にヤマハは昭和51年にシリコンアイランド・九州,鹿児島県始良郡にLSI専用工場を作り年間500万個の楽器用LSIを生産している.
本当にヤマハは尊敬に値する会社だと思う。そういえば、グループサウンズ時代にキーボードが使われていたが、あれはYAMAHAだったろうか?KORGだったろうか。そうそう、1970年代にはMOOGという非常に高額なシンセサイザで作った冨田勲の「展覧会の絵」、「火の鳥」、「惑星」のLPを買って良く聞いていた。
因みに自社消費用としては、IBMに次ぐ生産量である. ヤマハ全体としては年間1千万個のICを消費している.この数字で見る 限り,楽器,家具,スポーツ用品メーカーとしての側面よりインテグレーテッドシステム メーカーとしての側面が浮び上ってくる.
しかしどうしてヤマハはこの生産設備を維持できなかったのだろうか。多分技術の進歩に追い付くための投資が巨額なため日電、富士通、三菱、東芝、日立等について行けなかったのだろう。
このようにヤマハのエレクトロニクス戦略をたどってみると, YISの発表は必然的到 達点であると言える.YISのセントラルコンピュータが採用しているCPUはYM 2002という自社製のもの(6502系)であり,最近 特にCPUより重要視されているグラフィッ クディスプレイ用LSIには,同様に自社開発のカスタムLSIを使用している.このL SIはSIT(静電誘導トランジスタ)を論理回路に使用したベクタージェネレータで, 従来のLSIがFET(電界効果型トランジスタ)を使用しているのに比べ,高速化,高集積化が行える特色を持っている.これは東北大学西沢潤一教授とヤマハの共同開発によって作られた新デバイスであり, 超LSIへ 向 かう新技術でもある。
うわー!スゲーわ。こんなすごい半導体メーカだったとは。今は、見る影もないけど。いやそうではないな。電子デバイス - ヤマハ株式会社私の知らないところで立派に頑張っている。
このように楽器の電子化から始ったヤマハのエレクトロニクス技術は,世界のトップレベルにあると言えるだろう.
正に同意!同感!昔はすごかったと37年後に認識した。
このヤマハが作り出したトータル・コンピューテッド・システム"YIS”はピアノプレーヤー, エレクトーン, ミュージックシンセサイザはもちろん,ビデオディスクなどのニューメディア, そしてヤマハ家具とドッキングしてセキュリティシステム,ヤマハバスの水温,水量コントロール, ヤマハキッチンの制御などまさにホームコンピュータの夢 を実現しようとしている.なお,これらは常にセントラルコンピュータに持続されている必要はなく、場合により各ユニット単体で動作することも可能である.例えば,ピアノプレーヤー装置だけでもピアノの自動演秦は可能であるが,セントラルコンピュータがあれば自分の弾いた曲をそのまま楽譜の形でプリ ントアウトさせるといったインテリジェントな作業が可能である.
ああ、ここでRUBの風呂場がでてくるのか。ヤマハは昔、ユニットバスとかシステムキッチンもやっていた家具屋でもあるのか。知らんことだらけだ。コンピュータを家庭に入れるいわば当時は夢のようなスマートハウスを本気で実現しようとしていたのか。コンセプトだけではなく実現しようとしていた。成功しなかったということは、経営的・営業的な面での失敗だったのだろう
YISを始めとして,誰もが強力なコンピ ューティングパワーを所有できる現在は,従来以上にマン・マシンインターフェイス技術が重要なポイントになってくる.つまり,処理能力が増大した分を,マン・マシンインタ ーフェイス処理に振り向けてやることが可能になるわけである.その分のロスは操作性の向上に比べれば十分無視できる.
その通りです。歴史がこの論説の正しさを証明している。
これからは,ただ単にやさしく一部の機能 だけを使うのではなく、一段と強力になったコンピューティングパワーを最小の労力で引き出せる機能が必要になる.この条件を満たした時,ライフ・スタイルとパーソナルコンピュータが結びつくことができるだろう. 吉崎武
いや、凄いや。吉崎編集長。流石プロというか、トップは文章の質が違う。当時は、自分のレベルが低すぎて理解や同意できなかった。

37年も経てば、どうとも言える。後だしジャンケンにも程があると自戒しつつこれをアップする。
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