37年後の後だしジャンケン02(パソコン界の黒歴史) [パソコン黒歴史]
YAMAHAの黒歴史02 パソコンシステムYIS(2)
YAMAHAがYISにどれだけ注力したか3月号以降の広告を追ってみる。
1982年3月号の広告
左図は「こちらは、まだ、北海道の一部を描画中ですが…」。右図は「YISセントラルコンピュータは、日本全国描画完了!」
●コンピュータの場合、もちろん演算処理速度ということでは驚異的な速さですが、これまでの経験から言うと、演算処理した結果をディスプレイに描画完了するまでの時間がかかりすぎるというもどかしさをしばしば感じさせられてきたわけです。TVのスイッチオンスタートや即時点灯式の蛍光灯などの有難味に慣れてしまった私たちにとっては、簡単な図形はもちろん、複雑な図形だって見たい時にパッと画面に現れて欲しいものです。瞬時に計算し、そして、たちまち作画するコンピュータこそ、私たちにとって実用的ですし、精神的なイライラを解決するものです●描画能力のことで言えば、YISセントラルコンピュータPU-I-20シリーズでは、グラフィック専用の16ビットCPU(Z8001)によるインテリジェントグラフィックボード及びハードウェアDDA方式高速グラフィック(自社開発SITL形LSIによるVector Generater)を標準装備、CPUからのマクロコマンドで各種図形を描きます。美しく鮮やかな画像に加え、私たちの目がもどかしさを感じることのない充分なハイスピードで描画処理が可能です(PU-I10シリーズではCAPボードを標準装備)●強力なグラフィック機能により、読みやすく美しい漢字・カナ文字表示が可能(ソフトにて供給・別売)●DMAコントローラによりメモリー~フレックスメモリー間のデータ転送はCPUを介さずに可能●ディスプレイ部は512×384ドット表示、RGBセパレートリニアドライブ●価格PU-1-10シリーズ\1,048,000/PU-1-20シリーズ\1,287,000(価格はいずれもCPU+フレックスメモリードライブ、ディスプレイ、キーボード、プリンタ、ディスプレイ台枠を組合せた場合の合計価格です)Z8001はグラフィックボード専用に積んであるのか。その性能は素晴らしいが、システム全体の価格が高すぎる。マイコンホビーストには手が出ない。ホビーストにとっては遅くても我慢できるし、逆に言えば高速化プログラムを作る楽しみがある。ゲームならば、高速なグラフィックスではなくPCGの採用により高速化を図った。
システムのくみ上げ例がおしゃれ。他のパソコンとは違って事務機器の匂いがしない。
4月号はこれ
●お見せしているのは漢字を高速で1~16倍まで拡大した原寸大の写真です。YIS(ワイズ・YAMAHA Integrated System)セントラルコンピュータPU-I-20では、こうした漢字表示も含めた強力なグラフィック機能を実現しています。そのため、16ビットCPU(Z8001)によるインテリジェントグラフィックボード及びハードウェアDDA方式グラフィックボード(自社開発SITL型LSIによるVector Generater)を標準装備し、ホストCPUからのマクロコマンドで16ビットCPUを働かせ、Vector Generaterに各種図形を高速で描かせています。また図形の拡大、縮小、回転なども自在です●この2種類のグラフィックボードによる多機能・高速描画能力の秘密は主に2つあります。第1の秘密はハードウェアDDA方式であること。通常のホストCPUによるソフト手法のDDA(デジタルディファレンシャルアナライザ)方式と比べ、ハードウェアDDA方式の速度は約100倍という圧倒的な速さですし、ホストCPUのユーザーズエリアも大幅に広がります。そうして第2の秘密はグラフィック関係の演算処理をすべて16ビットCPUがインテリジェントで行なうこと。つまりホストCPUがグラフィック演算にかかる時間がそっくり分離でき、16ビットということもあって、高速のDDAが可能になっています。このときホストCPUからグラフィック専用CPUに送られるマクロコマンドは、コンソールコマンド(アスキーキャラクタ、常用漢字 等)、プリミティブ・ベクター・コマンド(点、直線、円、多角形等)、座標変換コマ ンド(ウィンド、ビューポート、拡大、縮小、回転、平行移動等)、応答コマンド(ヒットディテクト、ライトバック等)といった非常に用途が豊富で使いやすいものとなっています●上の写真の漢字も、漢字をグラフィックとして扱ったもので、しかも、あまりに高速で描かれるため判別しにくいかも知れませんが、きちんと正しい書き順通りに描かれています(PU-I-10シリーズでは2種類のグラフィックボードの代りに強力なCAPボードを標準装備)●画面表示能力で言うと、RGBセパレートドライブ(リニア入力)で512×384ドット(ビデオメモリ512×512×3プレーン・96Kバイト)の画面の中で、256色中の任意の8色を各ドット毎に色指定可能です。画面文字はキャラクタジェネレータによる64字×24行表示●そうしてYISでは右図のようなトータルシステムを構成するための各種周辺機器群および各種インタフェース群、そして、YISの最大の特徴でもある実用的なアプリケーションソフト群も着着と用意されつつあり、本格的なホームコンピュータ時代の幕開けに向けてスタンバイしています●価格…PU-1-20シリーズ\1,287,000/PU-I-10シリーズ\1,048,000(価格はいずれもCPU+フレックスメモリードライブ、ディスプレイ、キーボード、プリンタ、ディスプレイ台枠を組合せた場合の合計価格です)●YISの全製品はYISショップにて展示されています。お気軽にご来店下さい。なお、YISショップでは初心者のための無料レッスンを実施しているほか、YIS BASICを中心としたYISスクールの生徒を募集中です。繰り返しになるが、ホビーユース中心でビジネスユースが試され始めている時点でホームユース100万円越えの価格設定は、市場を見誤っているとしか思えない。マーケットのニーズを的確にとらえなければ成功しない。やはり、黒歴史だ。
5月号は、ヤマハと言えばこれでしょうという広告。
●YISセントラルコンピュータPU-1-20シリーズでは、もし、その気なら、ピアノやシンセサイザ等の音楽演奏も、一種の情報としてコンピュータライズすることが可能です。写真は、ピアノプレーヤやミュージック・キーボードから送られてくる音楽情報(デジタル信号)を、コンピュータが楽譜に変えて、ディスプレイにリアルタイム表示したものです。音楽演奏の情報は、一般の情報と比べると、非常に複雑な要素で構成されており、単位時間当りの情報量が膨大な上、それらがハイスピードで次々と発生してきます●そのために、非常に高速な演算速度が要求されます。さらに、リアルタイムで自動採譜するとなれば、描画速度についても超高速が要求されてくるわけです●YISセントラルコンピュータPUI-20は、グラフィック専用に、16ビットCPU搭載インテリジェント・グラフィックボード及びハードウェアDDA方式Vectr Generaterボードを標準装備したことで、超高速で美しい描画能力を実現しています。しかも、図形の拡大、縮小、回転、移動等を行なうコマンドが用意されていることもあって、ディスプレイの五線紙上に音符を置いてゆく作業も、いとも簡単にこなします。また、送られてきた演奏情報そのものの処理は、高速仕様CPU(YM-2002・6502タイプ)およびAPU(高速演算用LSI)等により、瞬時に行なわれるため、まさにリアルタイムのミュージック・コンピュータとして働きます●ここでご紹介している自動採譜の応用として、逆に、コンピュータのキーボードやタッチペンで入力した音符をもとにして、ピアノやシンセサイザに自動演奏させることなどを可能にする「音符入力」も考えられます。そのためのソフトウェアとして、Music Language(音楽用言語)や、Music Play Editor機能、Music Display Editor機能といったものを用意しつつあります●もちろん、こうした自動採譜や音符入力を可能にするための前提には、音楽や楽器についての専門知識およびノウハウは不可欠ですが、これこそヤマハが最も得意な分野の1つであり、他のアプリケーション・ソフトウェアと同様に、内容の濃い、入念な仕上りになっています。なお、音楽記号のキャラクタ・パターンは、漢字やひらがな等とともに用意されています(フレックスメモリーにて供給)。ですから、YISセントラルコンピュータのハードコピー機能を利用して、日本語ワードプロセッサや楽譜のワードプロセッサといった活用法も可能になるわけです●ところで、こうしたミュージック・コンピュータの世界もさることながら、右図のように、YIS(Yamaha Integrated System・ワイズ)では、各種周辺機器と連動して使うという、無限の発展可能性を持っています。各種インタフェースボード類も豊富に用意し、そうした上で、YISでは、真のコンピュータ・ユーティリティを充分に考慮した、ホーム用およびビジネス用ソフトウェアも同時に開発してゆきます。面倒な仕事はすべてコンピュータに任せ、私たちは自由な時間と(コンピュータという)クリエイティブな道具を手に入れて、Live a joyful life!全くYAMAHAらしい広告で先進的な取り組みをしていた。他メーカーが取り敢えずパソコンを作って売ろうに対してYAMAHAはパソコンを使っての生活「、Live a joyful life!」を売ろうとしていた。音楽業界とか一般ユーザの見えないところで必要経費として落とせる人達には売れていたのかもしれない。
6月号は、これ
●多くの人々がコンピュータを仕事や家庭に導入してみて、真っ先に痛感するのは、画面表示が(利用者の過大な期待に比べると)意外に遅く、複雑な図形を用いるとなると、そのためのプログラミングにも相当手間がかかるといったことです。つまり、コンピュータの実用化には、まず万全なグラフィック機能が不可欠となります。YISセントラルコンピュータPU-I-20シリーズでは、2種類のグラフィック専用ボードを搭載したことなどで、グラフィック機能の特別な強化を実現しています●まず、グラフィック関係の演算処理は、全て16ビットCPU(Z8001)がインテリジェントで行ないます――これまで、ホストCPUがグラフィック演算にかかっていた時間をそっくり分離でき、16ビットということもあって、高速処理が 可能となります。このとき、ホストCPUからグラフィック演算専用CPUに送られるマクロ・コマンドには、コンソール・コマンド(アスキーキャラクタ、常用漢字等)、プリミティブ・ベクター・コマンド(点、直線、円、多角形等)、座標変換コマンド(ウィンド、ビューポート、拡大、縮小、回転、平行移動等)、応答コマンド(ヒットディテクト、ライトバック等)といった、非常に用途が豊富で、極めて簡略化されたものが用意されています。こうして演算処理された情報をもとに、自社開発SITL型LSIによるVectorGeneraterが高速描画を行ないます。これードウェアDDA(デジタル・ディファレンシャル・アナライザ)方式を採用したため、通常のホストCPUによるソフトウェア手法のDDAと比べ約100倍という圧倒的な描画速度を実現。上の写真のような複雑な図形も、アッと言う間に描画してしまいます。こうしたグラフィック機能を始めとするすべてを管理する基本ソフトウェアには、まず、充分な発展性が考慮された強力なYIS OSが独自に設計されています。その上で、BASIC、ミニアセンブラ、DDT等が用意され、また別売で、マクロアセンブラ、スクリーンエディタ等も利用できます。YIS BASICは、これ自体、シンプルで強力なものですが、さらにグラフィック関係のインテリジェント化によって、多機能でありながら、ユーザーズエリアが広く、しかも非常に高速です●高度なグラフィックをBASICで自由に操れること、また、「画面当り256色の中から任意の8色を選んで使えることなどを利用して、各種設計図、デザインパターンの応用ツールや、あるいはコンピュータ・アートといった新分野への発展も自在です開発環境も用意されているし、もしかすると先進的な音楽業界人、デザイナー達は導入していたのかもしれない。
でも結局は売れてるところをみてないのだけれどもね。
37年も経てば、どうとも言える。後だしジャンケンにも程があると自戒しつつこれをアップする。
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